論文:SARS-CoV-2 の遺伝子がヒトの遺伝子に組み込まれる
   (SARS-CoV-2 RNA reverse-transcribed and integrated into the human genome)
Liguo Zhang,Alexsia Richards, Andrew Khali, Emile Wogram, Haiting Ma, Richard A Young and Rudolf Jaenissch
(bioRXiv preprint doi: https://doi.org/10.1101/2020.12.12.422516)


訳:河田昌東
21/02/16
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論文趣旨
コロナ感染から回復後の患者が長期間にわたってSARS-CoV-2 RNAを放出しPCR検査陽性反応が再発する事が広く報告されているが、これらの患者は一般的にほとんどが他人にウイルスを感染させることはない。本研究ではSARS-CoV-2 RNAの逆転写の可能性について調べた。

外部からのDNAがヒトゲノムに統合され、統合された配列が再び転写されればPCRテストは陽性になる。この仮説のもとに、我々はSARS-CoV-2の感染培養細胞と患者の細胞の公開データセットから、細胞の遺伝子配列とウイルス遺伝子が融合したキメラ転写物(RNA)を発見した。ウイルス遺伝子RNAの逆転写によって出来たDNAが細胞DNAに統合する可能性を実験的に裏付ける事により、SARS-CoV-2 RNAがヒト細胞DNAのLINE-1配列からの逆転写酵素(RT)またはHIV-1 の逆転写酵素(RT)を使って、ヒト細胞内で逆転写される可能性があること、その結果出来たDNAの配列を細胞ゲノムに組み込みこまれ、その後再びRNAに転写出来るようになる。

人間の細胞が持つLINE-1逆転写遺伝子の発現はSARS-CoV-2ウイルスの感染、または培養細胞のサイトカイン暴露によって誘発される。この事は、SARS-CoV-2 RNAの逆転写による患者DNAへの統合の分子メカニズムを示唆する。 SARS-CoV-2感染のこの新しい特徴は、患者が回復後もウイルスRNAを生成するというRNAウイルス複製の新しい側面を説明できることを示唆する。


昨年12月に気になる論文がでていました。
新型コロナの遺伝子RNAが細胞内で逆転写されてDNAになり、それがヒトのゲノムに統合された、という内容です。その結果、統合されたコロナDNAから新たにRNAが合成され、PCR検査で陽性になる。しかし、このRNAは細胞のDNAの一部も連結していて感染性がない、という事です。

この間、PCRの擬陽性などが問題になっていますが、その一つの答えかもしれません。
また、このことはこれから始まるRNAワクチンやDNAワクチンも同様の危険性があることを示唆していて、ヒトのゲノムにコロナのスパイクDNAが組み込まれる可能性も示唆します。


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