遺伝子組換え食品を考える中部の会では2020年6月28日、三重県の国道23号鈴鹿市『白子町』から津市『中瀬』までのGMナタネと雑種ナタネの調査を行いました。

毎春4月初旬に行っているGMナタネ抜取隊が新型コロナウィルス禍の影響で、中止を余儀なくされました。

今回の雑種調査についても、毎年、雑種ナタネが多く確認されるこの時期に行なっているものの、コロナ非常事態解除を待ってのぎりぎりの敢行といった状況でした。

今回は中部の会関係者のみによる調査となってしまったため、その範囲についても左の地図に赤線で示した国道23号の4.5kmという短い区間に限られてしまいました。

調査は4グループ各3名とし、それぞれの調査区域を往復し、東西の道路脇および中央分離帯のナタネを採取し地図に記録。

採種したナタネは検査会場四日市市なやプラザに持ち寄り、イムノクロマト法による簡易検査を行いました。
その結果、セイヨウナタネ80本、雑種と見られる個体3本を確認。

以上の中から選抜して検査を行った結果、セイヨウナタネ47検体のうち33がGM陽性(GM陽性率70.2%)、雑種と見られる3検体ではいずれもGM陽性を確認しました(GM陽性率100%)。
B班『磯山二』の北で確認された「B-1Z」について
昨春の第22回抜取隊でもこのコースで抜取りが行なわれています。その時のナタネ抜取り本数は333本と異常に多かったため、歩道脇のこの個体を見逃してしまったと思われます。

歩道の外側は意外に死角になるため要注意です。
『磯山二』の北、西側歩道の脇の空地の「B-1Z」巨大に生育しており、明らかに越年している

B-1Zの顕微鏡写真
(花粉がまったく無い)
今回の調査で採取された雑種と見られる3検体「A01-03Z」「B-1Z」「C-2Z」については農民連食品分析センターへ送り、PCR検査を依頼しました。その結果、いずれも当日の簡易検査どおり、「A01-03Z」はLL陽性(除草剤バスタ耐性GM)、「B-1Z」はRR陽性(除草剤ラウンドアップ耐性GM、「C-2Z」RR陽性と確定しました。

交雑種の雄しべの顕微鏡写真
左はB-1Zの雄しべの顕微鏡写真です。通常のセイヨウナタネでは、雄しべにたくさんの花粉が付着していますが、B-1Zではまったく着いていない。「C-2Z」でも同じく、雄しべに花粉はまったく確認されませんでした。右に示した画像はセイヨウナタネで、こちらの雄しべには多くの花粉が付いているのが確認できます。

交雑種のナタネの場合、雄しべは花粉をつけないことがわかっています。これを「雄性不稔」と言います。花粉がないために自家受粉出来ず、この雑種には種がつきません。

これは異種植物同士が交配して子孫を残さないようにし「種を守る」ために植物が進化した結果です。

2016/6/12に鈴鹿市『肥田町』交差点南で採取されたセイヨウナタネの雄しべの様子 ●関連ページ

今回の調査では、すでにナタネの開花と結実期を経過してしまっているため、実際のナタネの自生状況を把握することはできません。そのため中部の会では、今秋にもナタネ自生調査を行い、秋のGMナタネ抜取隊を行なうかどうかの判断をする予定です。

B−1Zの根元

B−1Zの根元
(直径5cmを越えている)

B−1Zのほとんどの種鞘は不稔だが、まれに種を付けている部分もある(キメラ)

B−1Z(左)とC−2Z(右)
A01−03Z(A班『白子三』付近)
鈴鹿市『白子三』交差点
『白子四』付近、側溝の排水口(14本)
四日市市なやプラザにて(A班の検査の様子)
検査の集計(暫定)


高木仁三郎市民科学基金
中部の会では今年度、高木仁三郎市民科学基金からの助成を得て活動しています。検査用試験紙をはじめ、GMナタネの調査活動に大きな助力となっています。

高木仁三郎市民科学基金に対し、この場を借りて深くお礼を申し上げます。