韓国国立環境科学院によると、GM生物の調査の結果、韓国の主要な港、GM作物を扱う加工工場、畜産農家周辺とその輸送経路で、トウモロコシ、大豆、ワタ、ナタネが確認されています。2009年の調査では、全国で8ヶ所の自生を確認していますが、2012年では26ヶ所となっており、GM汚染の実態が拡大しつつあります。

同院では、以下4点について環境への影響を懸念しています。
・土壌微生物相への影響
・害虫抵抗性(Bt)作物の、それ以外の対象昆虫に対する影響
・食物連鎖への影響
・生物多様性への影響

今のところ確認されている地域は、京畿道仁川(インチョン)市、忠清南道論山(ノンサン)市、天安(チョナン)市、江原道原州(ウォンジュ)市、横城(フェンソン)郡、江陵(カンヌン)市など。

右の地図上で、トウモロコシ、ワタの自生が大きく目立つ反面、ナタネに関しては目立った自生は見受けられないようです。

韓国では、ごま油が多く消費されますが、揚げ物には菜種油も利用されており、食用としてのナタネの消費も考えられるため、その自生についても調査の必要があるように思われます。

遺伝子組換え食品を考える中部の会では、2014年10/1、独自にソウルの南に位置する仁川(インチョン)港の該当する地区の調査を行いました。
下の写真、インチョン港には穀物の荷揚げ用バースがあり、アンローダーと呼ばれる荷揚機により吸上げられた荷物を、ベルトコンベアーにより、サイロに移送しています。ただし、インチョン港で確認されているGM作物がナタネに限られており、またその数量も少ないことから、実態についてはわかりません。

穀物は左下の荷揚バースからベルトコンベアーで製粉会社サイロへ移送されている。飼料会社への搬入は不明。

飼料会社

国立環境科学院がGMナタネを確認したとされる道路(左は飼料会社のサイロ)

唯一、作物と思われるナタネ。民家の軒先に植えられていた

当日は、上の赤線と青線の地区を徒歩で調査しましたが、きれいに除草されており、セイヨウナタネ、トウモロコシなどは確認できませんでした。

4年前の Cop10/Mop5 の名古屋会議では、その配慮からか、三重県の国道23号線のナタネも激減しました。韓国仁川でも、同様の配慮がなされたのかも知れません。

Mop7:カルタヘナ議定書締約国会合 Cop12:生物多様性条約締約国会議
生物多様性条約の国際会議 Cop12と、それに先駆け、Mop7(バイオセーフティーに関するカルタヘナ議定書締約国会議)が、韓国平昌(ピョンチャン)のリゾート地アルペンシアで 2014/9/29〜10/3 にかけて行われました。

2010名古屋会議の横断幕をバックに記念撮影
『サイドイベント』に参加しました
日本からは『食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク(食農市民ネット)』が参加。9/30、日本で起こっているGMナタネによる環境汚染を訴えるためのサイドイベントが行われました。遺伝子組換え食品を考える中部の会も参加。

4年前の名古屋での会議(Mop5)で交された名古屋・クアラルンプール補足議定書では『責任と修復』の条文が大きな意義を持ちました。

補足議定書では、GM生物の国際間取引の際、生態系に悪影響が生じた場合、損害を引き起こした事業者(開発企業、輸送業者など)に対し、経済的、環境的損失を回復するための義務を負わせることができるとするもの。2004年のマレーシア・クアラルンプルで話し合いが開始され、名古屋で採択されたため、この呼び名があります。

名古屋・クアラルンプル補足議定書には、2013年12月現在で発効必要数の半数20ヵ国が批准しています。批准国が40に達した日から90日後に発効します。まだまだ、遠い道のりです。
日本は2012年署名はしましたが、批准をしておらず、未だ国内法としての明文化もおこなっていません。

カルタヘナ議定書は
2014年10月現在、カルタヘナ議定書の締約国は166の国とEUが批准締結していますが、米国・カナダなどのGM大国の批准はありません。

江原道平昌郡横渓にあるアルペンシアリゾート。2018年には、冬季五輪が行われます

山頂の建築物はスキーのジャンプ台