シンポジウム 食の安全と自給
質問コーナー
瀬口さんに質問
Q1
食べることで生産者、日本の食をサポートするしかない我々消費者ですが、無農薬有機を求めることは逆に生産者を苦しめてしまいませんか? 減農薬程度を求めるほうがよいのではないでしょうか。

カロリーベースの自給率に、こんにゃくなどのローカロリー食品はいくら国産でも貢献しないということですか。

有機を志向する生産者とつながれば問題はない。生産者と消費者のやり取りこそが支えあう関係につながると思う。
Q2

私は中学3年生で中学の卒論のテーマで『日本の農業は守れるか』を勉強しています。自給率や農業政策、農業や遺伝子組み換えなどの色々な問題を知りましたが、私たちの世代の人たちが、食や農業を考えるようになるには何をどのように伝えるのが一番わかりやすいですか。

親の世代が食農とは楽しいものだということを子供に伝えることが大切だ。

黒瀬さんに質問
Q3

安全でおいしいお米は経済発展の進む中国のお金持ちに大人気と報道で知りました。高く売れるお米の輸出に力を入れている自治体も出てきました。国内の米価は安価で低迷しています。もし、このままの価格格差が広がるとしたら、国内よりずっと高く販売できる海外へ販売することは絶対しないといっていただきえますか。

また企業買収を続けてきたヘッジハンティングの次の目標は『穀物』と聞きました。本当でしょうか。

中国への米輸出で日本の米が1俵7万円で売れるというけれど、実際には20tほどで形ばかりだ。また中国での検疫で1俵30万円ほどもかかってしまっている。半分は『やらせ』の話だ。このような価格のものが中国で一般に通用するはずがない。

企業の農業買収は今後起こらないだろう。なぜなら他の企業が進出できるほど経営的に成り立つものではないからだ。話題にはなるが農業が『好き』でなければやりきれるものではない。

たとえば養鶏がしたいといってもそれに向かなければ経営は無理だ。有機農業にしても勇気で育てることが楽しいという心構えが必要。またその喜び自体が所得なのだということ。

企業による農業進出について、有機農産物を確保するためにコストを無視してでも行おうというつもりでなければ通用しない。ほかに企業イメージを上げるなどの目的で。

米国の農業でも同じこと。
Q4

有機農業に携わることになったきっかけは何ですか

農業が大好きだったから。自分は日本の農業の変遷をすべて体験したともいえる。小学校では牛で、中学では耕運機、そしてトラクターというように、ずっと田んぼの中で育った。大学卒で農業を継げず、農政を何とかしたいという気持ちから県に就職したが、八郎潟の話をきっかけにこれしかないと思い入植を決意した。
Q5

主要先進国の食糧自給率の推移資料の中でおなじヨーロッパにあって、フランスの自給率(122%)とスイスの49%。なぜこんなに違いがあるのでしょうか。

イギリスは日本の耕地面積の7〜8倍あり、これは自給率について大きい意味がある。EU統合の結果、英国農業が有利になった。

日本ほど消費構造が変化してしまった国はほかにない。中国なども経済発展の結果、肉、マグロなどの嗜好食品を食べるようになり、こちらも大きく食生活が変化している。

食生活が大きく変化してしまったのが大きな理由といえる。
Q6

最近話題になっている農家への所得保障制度についてどう考えますか

大反対。日本の農は米が基本。米は食糧管理法で統制されてきた。農家が行政に頼るという構造が改善され、自立の方向に向かなければ所得保障は逆効果となる。
Q7

@除草剤を1回使うこともあると話されましたがこの除草剤はどのようなものですか。
A反収量について、2割減といわれましたが黒瀬農舎の数量を教えてください。
A@

除草剤はトップガンフロアブルを使用。残留毒性の少ないものを選んでいる。
AA

慣行では10.5俵だが、黒瀬農舎では8俵を目標とした肥料設計をしている。条件がよければ9俵採れることもある。

松沢さんに質問
Q8

草や落ち葉は堆肥にせずにエネルギーや栄養特性だけなく・・・とはどういうことですか。具体的に。

バイオマスはいかにうまく利用するかということ。日本の国土はイギリスに比べて5,6倍のバイオマスがある。おなじ考え方では草に負けてしまう。反面日本には山もあり、バイオマスを有効に使って循環を生かしてゆくかで自給率を高める素地を持っている。
Q9

福津農園のお話は大変だった23年間を楽しく話されましたが、こういう農園が日本にたくさんできると日本の自給率を上げられるようになりますか。

23年間自給してきたし生産力もある。消費者も支えてきたのだから可能だ。また自然の景観も守ってゆけるという点も大きい。生涯現役でゆきたい。

河田

今日の個性豊かな話を参考にして、自らの生き方にも繁栄していっていただきたい。今日はどうもありがとうございました。