四日市港より松坂市に至る
国道23号線沿線の
2006/02/09


GMナタネ自生追跡調査



中央『E』字の中央が第二埠頭
遺伝子組み換え食品を考える中部の会による三重県四日市港周辺の自主調査は、通算10回目となりました。最初の調査は04年7月の梅雨明けした暑い日でした。その日中部の会のメンバーは、あり得ないはずのセイヨウナタネの痕跡を求める、なかば『下見』の四日市港第二埠頭行きでした。

そして炎天下の港周辺で次々に見つかる季節外れのセイヨウナタネに、一同大きな興奮を覚えた。しかもそれらの何割かは遺伝子組み換えだった。

以後、自主調査を重ねるうち、地元の方たちの協力を得、三重県、関係団体、四日市市などへの働きかけ、会見にも参加してきました。

今回の調査は『遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン』主催による、全国規模でのGMナタネの調査キャンペーンの一環に則る活動として行ないました。

さらに今までの関係各機関による、四日市港から津市に至る国道23号沿線に自生するセイヨウナタネの駆除活動の成果を評価する意味でも、今回の調査は大きな意義を持つものと確信します。

調査の方法
以上のような位置付けから、今回の調査には一般からの参加者も加え、14名のメンバーを起用しました。さらに厳正な結果を得るため、全行程40Km以上を4つのグループに分けて調査しました。

なお、今回の調査には来日中のカナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学教授イブ・ティベルギアン博士にも参加していただいています。

今回に至るまでの自主調査で共通していえることは、あいかわらず多くのセイヨウナタネが確認されていることです。

第1グループ
第1グループは四日市港第二埠頭から国道23号までのトラック経路。

埠頭内では高い頻度で除草作業が行なわれているようで、ナタネの自生は以前ほど多くはないようです。

ただし、埠頭を出て国道23号へむかう経路では、あいかわらず多くの自生が確認されました。採取した検体は11。うち6検体がラウンドアップ耐性(RR)ナタネでした。

組み換えである確立は55%。

R164号は極端に短い道路ですが、この沿線で多くのセイヨウナタネが確認されました


この株、なんと根元の直径は6cm
第2グループ
国道23号『海山道1』交差点より白子町堀切橋南『寺谷8』交差点近くのサークルKまで。

以前国崎町信号南の水田の畦に群生していたセイヨウナタネは、きれいに一掃されていました。

しかしながら左の写真のような大きな株のセイヨウナタネ(これは非GM)が少し南の肥田町交差点近くの水田に隣接する空地で確認されています。

このように条件さえよければ、道路から10m以上はなれた場所にも自生は起こります。当然ながら、農作物によっては、交雑の可能性もあるわけで、農家にとっては見過ごせません。

第3グループ
第3グループは女性ばかりということもあり、たくさんの検体を採取することはできませんでしたが、車中より視認できたセイヨウナタネは7箇所でした。

採取した4検体はいずれもRRナタネでした。

第3グループのエリアでも、今までの調査と変わらない頻度でナタネの自生を確認しています。

白子町南『寺谷8』付近サークルKから新江戸橋の手前ファミリーマートまでのR23沿線


第4グループのGMチェック(RR判定)
第4グループ
第4グループでは三重大学南の新江戸橋付近から嬉野『小舟江北』R23交差点を右折、製油会社までの行程。

ここでも多くのセイヨウナタネが確認・採取されました。

R23号津市街では清掃・除草がゆきとどいており、自生を確認することはできませんでした。

ただし、市街地を外れた高茶屋小森町地内では、やはりセイヨウナタネの自生は頻繁に確認されました。

R23号を製油会社方向に直角に右折する『小舟江北』交差点では、スーパー駐車場が整備され、以前のセイヨウナタネの群落は姿を消していましたが、舗装の隙間には多くの自生が確認されました。ここでは除草剤バスタ耐性(リバティリンク)ナタネが検出されました。

この地点での採取検体は毎回の調査でも数が多く、要注意のポイントです。おそらくこの交差点でトラックが大きく方向転換することが、多くのナタネのこぼれ落ちを促していると思われます。

さらにJR紀勢本線の踏切前後でも自生が集中。トラックの停止、発進と車体の大きな揺れなどが原因と思われます。


自主調査から見えてくるもの
今回の自主調査の結果で特筆したいのは、それらの分布が四日市港から製油会社に至るまで、一様の頻度で確認される点です。荷台や車体に付着したものがこぼれ落ちているとすれば、港からはなれるにしたがって分布の頻度が落ちるはずです。にもかかわらずこの現状が物語るものは、トラックの積荷自体が『揺れ』や『減速』『方向転換』などが原因で、こぼれ落ちているのではないかということを示唆しています。

このような状況から、GMナタネのこぼれ落ちによる自生を防ぐ手段は、輸送トラックの構造によるものである可能性が考えられます。

今後、この点について明確な回答を導き出すため、トラック輸送をしている製油会社に対しての折衝が必要となるかもしれません。

新たな活動の方向性が示されたといってよい、今回の自生調査でした。今後は地元の関係団体間の協力の中で、問題解決へと大きく局面の展開が見られればといったところです。そのためには敵味方という関係ではなく、お互いの協力関係こそが将来の自然環境、健康の維持改善のための最善の方法となりうるということを確認しておく必要があるのではないでしょうか。