『ストップ遺伝子組み換えイネ
全国集会』in 名古屋 
2002/07/06


サブタイトル:いらない、食べない、作らない


 7/6、名古屋市中区役所ホールで『STOP!遺伝子組み換えイネ全国集会』が開かれました。

 今回の集会には、全国から110以上の生協などの参加があり、当日には北は山形県から南は九州までの流通団体、生産者、製造業者、消費者800名が集まった。1ヶ月余りの期間で集まった署名は323,097筆。

 集会前日の7/5には参加団体からの申し入れで、愛知県農業総合試験場での見学説明会が行われました。

 集会当日には集会終了後デモ行進が行われ、さらに7/8には愛知県と同試験場に対して、全国から集められた署名が提出されました。


遺伝子組み換え食品を考える中部の会では
 今回の共同研究の抱える問題点を重視し、日本消費者連盟、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンほかの団体と共同で、今回の『ストップ!遺伝子組み換えイネ全国集会』開催のはこびといたしました。

ストップ遺伝子組み換えイネ全国集会のながれ

7/5(金)
研究開発の見学・説明会

於:愛知県農業総合試験場

7/6(日)
全国集会

於:名古屋市中区役所ホール
市中パレード

7/8(月)
署名の提出
於:愛知県庁
■今回の全国集会で得られたこと
 『食』『環境』の安全性については、もはや行政にその責任をゆだねるだけではその確立は困難です。その指標作りをわたしたちのそれぞれの立場から提起してゆく以外に方法はありません。

 今後の運動として、現在まで集められている反対署名をこのまま累計して100万筆まで伸ばし、次の行動へとつなげてゆこうということになっています。

 BSE問題の前例の二の舞を踏むことなく、わたしたちの姿勢こそを問い直す契機としたいと考えます。

 消費者、生産者、流通業者、食品製造加工業者、科学者、政治家がそれぞれの立場から、お互いの信頼関係を確かなものとし、わたしたちの『食』と『環境』の未来をより良いものとしてゆけるよう、相互の理解と協調が必要です。

 全世界的に、遺伝子組み換え作物、食品の問題はいわば『正念場』にさしかかっているといわれています。そして今回の全国集会のゆくえは、今後の『バイオテクノロジー』の世界的な情勢に、少なからず関わってゆくこととなるでしょう。

7/6、名古屋市中区役所ホールで『STOP!遺伝子組み換えイネ全国集会』が開かれた。その前日には愛知県農業総合試験場見学、当日の集会とその後のデモ行進、さらに7/8の愛知県と同試験場への署名の提出と一連して行われた。

 今回の集会には、全国から110以上の生協などの参加があり、当日には北は山形県から南は九州までの流通団体、生産者、製造業者、消費者800名が集まった。1ヶ月余りの期間で集まった署名は323,097筆。

7/5 愛知県農業総合試験場見学会

 ここで特に驚かされたことは、その研究の着実な進展ぶりだった。昨年8月の同試験場主催の説明会では、9月以降、隔離圃場、一般圃場などでの栽培試験は行なわないということであった。にもかかわらず、すでに栽培試験は実際の乾田直播農法のもとで行われており、除草剤の圃場での実際的な使用を想定したものとなっている。

 共同研究者であるモンサント社での開発試験がどのように行なわれているのかはわからないが、この現況を見る限り、間違いなく商品化の方向に進んでいるものと推測される。

 現在、研究は愛知県の品種『祭り晴』で行われているわけだが、別の除草剤耐性品種(たとえばコシヒカリ)への研究の移行は、『戻し交配』という(極日常的に行われる)手法により容易に行えてしまう。
モンサント社としてのねらいはもちろん、除草剤耐性コシヒカリであろうが、その開発は同祭り晴の完成をもって達成されることとなる。愛知県農業総合試験場の発表によれば、除草剤耐性祭り晴の品種としての固定は本年度中に終了するとのこと。


隔離ほ場のGMイネの説明を聞く

一般ほ場での試験栽培。中央は試験区を分ける間仕切り

7/6 全国集会
真剣な面持ちの聴衆
天笠啓祐氏と河田昌東氏のトーク
この時点での署名数は 321,977 筆
各団体からGMイネ反対のアピールが読み上げられました(愛知県音羽町・音羽米研究会の鈴木農生雄氏)
全国集会は、名古屋市中区役所ホールで行われました。台風の接近で天候の危ぶまれるなか、全国から800名の聴衆が集まりました。

遺伝子組み換えイネについて、理解しやすいようにとの配慮で、天笠啓祐氏(遺伝子組み換え食品いらないキャンペーン代表)と河田昌東氏(名古屋大学理学部)のトークショーが行われました(天笠氏が質問役、河田氏がそれに答えるという形)。

河田氏からは科学者の立場から、遺伝子組み換え技術の稚拙さ、さらに現在の安全性の確認には大いに問題がある点などの指摘がありました。


7/6 市中パレード
  
市中パレードには400名ほどが参加。沿道の通行人に街宣用ビラの代わりのうちわを配布したり、「遺伝子組み換えイネ反対」の呼びかけをして気勢を挙げました。



7/8 署名提出(愛知県庁)
署名の提出先:
愛知県

同農業総合試験場
全国から集められた署名は合計323,097筆。
署名の受け渡しには、今回の全国集会の呼び掛け団体からの代表者、生産者、県と愛知県農業総合試験場からは、それぞれの担当官が出席。

この受け渡しの席では、質疑応答はなるべく避けたい県側と、数多くの質問をかかえる、署名提出側との『話し合い』が続きました。

いずれにしても、323,097筆の署名はそれだけで威圧感のあるものであったことは確か。

署名の提出に対応していただいたのは、県農林水産部平光氏。愛知県農業総合試験場・塩田氏(中央)。県農業経営課・神田氏(右)。
市民側からはとくに次のような問題点の指摘、要望がありました。
消費者の好まないものを開発、商品化しようというのは問題がある。消費者団体からの意見が反映されていない。
今回開発中のGMイネが原因でおこりうる経済的あるいは信頼の損失に対する責任は、愛知県にもあるのではないか。
農業総合試験場での研究の進展状況、あるいは今後の方向性など、常に明確なものとして情報公開をお願いする。など

『遺伝子組み換えイネ』の今後を考える、
■安全性について
 昨年5月には、農林水産省から環境に対する安全性の認可を受けている(それに基づいて一般圃場での栽培試験がおこなわれている)。これを食品として販売するためには、厚生労働省からの食品としての安全性の認可を受ける必要がある。

 現在の研究開発は、除草剤耐性品種を作出するためのものであるため、同試験場とモンサント社との契約もその時点までのものに限定されている。厚労省への安全性の認証を受けるか否かという点については、あらためて両者の間での協議、さらに調印という段階を経なければならないことになっている。つまり、同試験場(愛知県)の同意なしでは食品としての認可は受けられないということになり、一応の歯止めはあるように思える。

 ここで考えたいのは、モンサント社としてのもくろみである。同社としては今回の研究にたいして、その完成をもくろんでいるわけではないという点である。同社は単独でそれを完結する技術を当然もっているわけであり、本来パートナーなど必要ないのである。要するに、愛知県農業総合試験場との『共同』というお墨付きがあり、その上で認可を受ければ、世間的にはこの上もなく体裁を装うことができるというわけだ。同社はどんな強引な手を使ってでも、商品化をもくろむであろう。食品安全性に関する試験データさえそろっていれば、認可は容易に下りることになる。

 おそらく、除草剤耐性GMイネが認可されれば、米国での同GMコシヒカリの商業生産がはじまるであろう。そしてその売り先は日本ということになる。食品として認可されている以上、純度100%の除草剤(ラウンドアップ)耐性コシヒカリが何の規制もなく日本に輸入されることとなる。

■市場での混入
 米は折あるごとに問題となるが、市場での不正混入はなかば常識的なものとなってしまっている。外見は魚沼産か愛知県産か見分けがつかないというわけ。当然、GMと非GMの外見上の区別がつくわけでもなく、低コストなGM米は不正ブレンドにより市場に出回るであろう。

■混入率は
 必然的にGM米の混入率が問題となるだろうが、表示義務の生ずる混入率などはそのときにならなければおそらく決まらないだろう。5%となるのか1%なのか、あるいはもっと高い場合も・・・。すでに防ぎ得ない混入であるのならば、その許容となる混入率の範囲内で、GM米のブレンドは公のものとなるのであろう。

■産地では
 当然のことだが、GM米は食べたくないという消費者からは『米離れ』が起こることになる。世間の風評の恐ろしさは、BSEの例をみれば明らかなように、米の産地での経済的な被害、消費者に対する信頼の失墜という現実となってあらわれるだろう。当然、農業にとっての危機ともなる。

 一応のシナリオは以上のとおりだが、現在の研究開発がそのような方向に進まないようにするためには、世論の高揚に期待する以外にはないのかもしれない。

 今後の『ストップ!遺伝子組み換えイネ全国集会』の活動に期待したいところです。