清水港の
GMナタネ自生の自主調査
04/12/06

『遺伝子組み換え食品を考える中部の会』では、四日市港、名古屋港でのGMナタネ自生の自主調査を行ないましたが、その結果を踏まえ、遺伝子組換え情報室、中部よつ葉会、反GMイネ生産者ネット、ストップ遺伝子組換え汚染種子ネット、遺伝子組換え作物を考える静岡ネット、アキコ・フリッド(在スエーデンGM活動家)との合同で清水港の調査を敢行しました。

清水港での穀物の輸入荷役は、右の写真の『ホーネン埠頭』と、さらに南に下った『富士見埠頭』の2つの埠頭で行なわれています。

ホーネン埠頭では搾油のほか食品としてナタネ、大豆を、富士見埠頭では飼料用として大豆、コーンなどを扱っている。

積荷の穀物は輸送船の船倉からアンローダーと呼ばれる機械を使って抜き取られ、ベルトコンベアーで写真左のサイロに移される。

埠頭から備蓄用サイロ、搾油工場まではベルトコンベアーで移送されている。
ホーネン埠頭でみつかったセイヨウナタネ。このほか大豆の自生も確認されました。
ホーネン埠頭で陸揚げされるナタネのおそらくすべてが、同埠頭にある製油工場で搾油されています。そのため、この埠頭から未処理のナタネが出ることはないということになっている。

にもかかわらず工場周辺にはナタネの自生が確認できました。セイヨウナタネは雑草性が高く、またその種子は風にも容易に飛ばされるほど軽いため、いろいろな要因で拡散します。

今回のGMチェックにも、イムノクロマト法の試験紙を使いました。方法は検査する株の葉の一片を試験管の中にいれ、爪楊枝などで細かくつぶし、水を加え、さらに撹拌する。水が緑色になったら試験紙を差しこみ反応をみます。
豊年埠頭に自生していたナタネのチェック右から2番目が陽性(ラウンドアップ耐性)。豊年、富士見の両埠頭に自生していた大豆のチェック。右の2検体(富士見埠頭の)が陽性。

今までわたしたちの調査の対象から外れていた、ナタネ以外の穀物。大豆やトウモロコシは食用のほか、飼料用として大量に輸入されています。その多くが荷役のある埠頭で加工混合され、製品にされますが、その過程でもこぼれ落ちによる自生が確認されました。

富士見埠頭にある『東海くみあい飼料』周辺には、たくさんの大豆、トウモロコシ、小麦などがこぼれ落ちており、自生していました。

これは富士見埠頭で自生していた大豆。ラウンドアップ耐性が確認されました。
今回季節外れにもかかわらず確認されたBtトウモロコシ(富士見埠頭にて)。

清水港で穀物を陸揚げしている埠頭はふたつあります。食用油の原料を扱っているのが『ホーネン埠頭』、そして清水港の奥部で飼料用穀物を扱っている『富士見埠頭』。

それぞれの埠頭を調査した結果、いずれの埠頭でもナタネのほか、大豆とトウモロコシの自生が確認されました。

また富士見埠頭での調査で注目したいのは、ここでもナタネの自生が確認されたことです。

富士見埠頭は飼料用穀物を扱っていますが、ここでのナタネの陸揚げはありません。ナタネは粕として(油の絞り粕)搬入されています。

断定はできませんが、このナタネ粕が輸送途中でこぼれ落ち、発芽している可能性も否めません。

清水港の他のほとんどのナタネ輸入港で、ナタネの自生が確認されています。またこれから調査を進めてゆけば、飼料用穀物を扱う埠頭周辺でも大豆、トウモロコシの自生が想定されます。

農業という視点から見れば、穀物というのは生産物であるということのほかに『種子』であるという認識があるわけです。穀物であろうと、それが地面に落ちれば発芽してしまう。しかしながら、そういった認識が食品や飼料の原料としての穀物に対しては以外に低いのではないでしょうか。

今後、輸入穀物の自然界への拡散を最小限に止めるため、細心の努力が必要となるでしょう。とくに飼料用穀物については非常に厄介な問題も浮上してくるものと思われます。
地図のそれぞれの埠頭をクリックすると調査結果の詳細がごらんになれます。
当日の自主調査参加者