最近発表された一連のメールは、論争の的になっている除草剤ラウンドアップを守るモンサントの計画には、ラウンドアップが子どもに病気をもたらす、と主張する団体に対し「たわごとをやっつける」というアイデアが含まれていたことを示している。
モンサントの親会社バイエルに対する進行中の訴訟の中で見つかった一連の公開文書は、カリフォルニア州を拠点とするオーガニック産業とNPOママズ・アクロス・アメリカの反撃に対処するため、会社の幹部が公立大学の科学者に助言を求めたことを示している。 最近の税務申告によれば、このグループは遺伝子組み換え作物反対のキャンペーンを主導し、食品中の化学物質と毒物の検査を行っている。
2013年6月28日、グループの代表ゼン・ハニーカットは、当時のモンサントのCOEだったヒュー・グラントのブログに公開質問状を送った。その手紙で彼女はグラントに、ラウンドアップ耐性の種子の販売をやめるように要請した。このメールで、ハニーカットはグリホサート耐性の遺伝子組み換え作物に散布される化学物質グリホサートに関する懸念を表明している。
「あなたは世界を助けたいと思っています。GMOの栽培とラウンドアップが私たちの世界を傷つけている事を認める勇気を持ってほしい」と彼女は書いた。「自動車産業は、自社製品が危害を引き起こす疑いがある時にリコールを発行します。同様に、あなた方の製品の利用と長期使用が安全である事が証明されるまで、ラウンドアップをリコールしてください」と彼女はグリホサートが米国の肥満と自閉症の増加率の重要な要因である可能性があることを示唆し物議を醸している科学者ステファニー・セネフによる研究を引用して書いた。
手紙では、母親が「子どもたちに遺伝子組み換え作物を与えるのを止めて有機食品を与えると、症状が消えるか劇的に改善する」と、ハニーカットは科学的には実証されていないことを認める意見を述べた。この主張は、遺伝子組み換え食品は食べても安全だという広範な科学的合意に反している。(Pew Researchによれば、これにはアメリカの成人の約3分の1だけが同意している。)
新たに公開されたメールには、モンサントがこのグループを攻撃した様子が示されている。ハニーカットの公開書簡が発行されてから5日後、モンサントの会社役員のダン・ゴールドスタインは、ジョージア大学の作物学者ウェイン・パロットとイリノイ大学の生化学者ブルース・シャシーにハニーカットの手紙を送った。
ニューフード・エコノミーへのメールで、二人の科学者は、自分たちはモンサントに雇われてはいなかったと言っているが、にもかかわらず同社とのビジネス取引があった事は認めた。シカゴのWBEZによると、パロットはモンサントが会議への彼の旅費を「数回」支払ったことを認め、シャシーの大学は彼の仕事を支援するためにモンサントから少なくとも57,000ドルを受け取った事を認めた。「(モンサントから)大学に贈られた金に問題があるなら、州の予算がもっと多くなるように支援して欲しい」と彼は言う。
モンサントの役員、ゴールドスタインは2013年にパロットとシャシーに次のように書いた。「モンサントは(ハニーカットの手紙に)対応策を検討しています。長い目で見れば、これは今後の反GMOキャンペーンが子どもの健康に焦点を当てることを示唆しています。私たち3人全員が過去数年間こうした運動の流れを見てきたので、その確証だと言うべきでしょう。回答に関するアドバイスやアイデアは喜んで受け入れます。」
「基本的に、あなたは御自身の身を守る事を始めて下さい。他の人があなたを守りに来る事は期待しないで下さい。業界は沈黙していますが(我々の側のストーリー)の広告から始めます」とパロットは答えた。
シャシーはこれに同意した。「反GMOの人々は、優れた科学的情報によっていずれ(我々が)勝つ日が来るという素朴な信念を、非常に巧みに無視しています。彼らは色々な論文、質の悪い論文を発表しましたが、それは気にしません。彼らは訴訟、問題のある訴訟を起こしましたが気にしません」と彼は書いた。「この手紙の一番おもしろい部分は、オーガニックで育てると子ども達が元気になったという事です。問題はそこです。それがあなたの敵です。彼らの戯言をやっつけ、守りを固めればこんな問題は発生しません」
「貴方がキーパーソンだと言わざるを得ません」とゴールドスタインは答えた。「私は一この週間、彼らの戯言をやっつけると主張してきましたが、明らかに負けました。私たちは母親に暴行していると見られたくありません、それでは誰も私たちの主張を聞かないでしょう。それは第三者によって行われなければなりません。それはモンサントの問題ではなく業界の問題です…私は今週ずっとそうした意見を聞いてきました。」
科学者達はひるまなかった。「寝転がって死んだふりをする事は選択肢ではありません。沈黙すれば、訴えられている全ての事柄に対し有罪を認める事を意味します」とパロットは2013年7月3日に書いた。「その(ハニーカットの)手紙に資金を提供した有機産業を打ち負かせば良いのです」とシャシーは同意した。「想像力を少したくましくすれば、それを楽しくする事さえ出来ます。例えば、ストニーフィールド農場はGMOに対する(反対)キャンペーンを行っており、この所有者はダノンです。アメリカのアメリカ企業を打ち負かすために数百万ドルを費やしているフランスの会社です。 7月4日にそれで何か出来ますか。」
ママズ・アクロス・アメリカは、そのウェブサイトで、Organic Valley、Nature’s Path、Dr.ronner's、Organic Consumers Associationなど、多くのオーガニック企業を資金提供者に指定している。更にこのグループは、規制されていない健康補助食品を販売する事で自立している。
これらの電子メールは、除草剤の被害者が巨大化学企業のモンサントを訴え始めた2016年から徐々にリリースされている膨大な文書の一部である。昨年、元学校のグラウンド管理人、デウェイン・ジョンソンはラウンドアップが彼の非ホジキン性リンパ腫を引き起こしたと主張し、サンフランシスコ地裁の陪審員裁判に勝利した。モンサントがラウンドアップや他の除草剤の健康上のリスクを覆い隠していた事実を認め、陪審員判決はジョンソンに2億8千9百万ドルを与えた。それは後に7千8百万ドルに減額された。グリフォサートベースの除草剤の使用で苦しんでいると言って、更に何千人もの原告が待機している。
ジョンソンの弁護士法律事務所のバウム・ヘッドランド弁護士によってリリースされたファイルのバッチには、モンサントが1979年までグリホサートに関する情報を隠そうとしていたことを示す会社の電子メール、書類、複写、及びテスト結果が含まれている。これらのファイルには、巨大化学企業が、歌手ニール・ヤングを含む活動家に対して法的措置を取ることを検討したことも書かれていた。電子メールはまたモンサントが国際がん研究機関(IARC)の信頼性を損なわせるために共和党にどのように働きかけ、グリホサート問題に関わる税金を削減したかを示している。
電子メールはまた、巨大化学企業自身が除草剤の安全性について疑問を持っていたことも明らかにしている。2014年、モンサントの毒物学者ドナ・ファーマーは、グリホサートに関する宣伝用コピーには「それが「安全」だと言ってはいけない。・・・・・安全に使って来た歴史、安全に使用された、等とは言っても良い」とスポークスマンに語った。
2015年に、IRACがグリホサートをヒトに対して発がん性の可能性があると認定した後、モンサントが雇用した科学コンサルタントは、反論として論文の要約を提出する準備を進めていた。メールで、モンサントが相談したバーミンガム大学の疫学者であるトム・ソラハンは、「証拠がない、と言ってはいけません。そう言うと証拠が一つも無いことを意味してしまうからです。そうなれば、その先どうなるか私には分かりません」
これらの文書のリリースは、グリホサートに関する新しい連邦政府の措置と偶然にも一致する。 来週、環境保護庁(EPA)は、パブリックコメントを延長したために、5月に遅れていたグリホサートの定期的な評価を終了する。規則の制定の結果、世論の抵抗を呼び起こし、それらのコメントはEPAがラウンドアップと他の除草剤を市場から排除するように懇願している。しかし、このタイプの反対派は何年もの間モンサントを苦しめてきたのだ。シャシーとパロットへのメールで、ゴールドスタインは、特殊な作物でグリホサートの使用を増やすという請願が非難され、2日間で約11,000件の否定的なコメントが提出された、と指摘した。
「私たちは今、企業を殺す道に向かって進んでいます」と彼は書いた。「見た目の格好は悪いが、私に出来るのはただ待機して見ている事です」
現在モンサントを所有しているドイツの会社バイエルは、プレス時間までにコメントを欲しいというリクエストに返信しなかった。応答があればこのストーリーを更新する。モンサントの関連研究者がラウンドアップを心配するママ達に「たわごとを抜かすな」
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