05/01/10〜24
ヤソトーン
編
タイ東北部(イーサン)の有機農家
イーサンのヤソトーン県でのGMイネ反対集会の前日、ぼくたちはヤソトーン市から30Kmほど離れたクッチュムの有機農家、スリワウライさん宅に泊めていただきました。
ヤソトーン周辺の田畑にはかつての森林の名残で、多くの木々があります。そのため遠くを見渡せるほどではないものの、延々と平らな田園風景が続いているという感じですが、ここクッチュムまでくると水田地帯の向こには森林が茂っており、まだまだ豊かな自然が残っています。ヤソトーンと比べると若干の起伏を感じますが、ここクッチョムでも、やはり平坦な風景がつづいています。
それにしてもこの季節、どこまで行っても乾ききった水田がつづくばかり。農家にとって米以外の作物は自分の家の敷地近くに自給用で作る程度。
スリワウライさん
スリワウライさんは17ライ(約2.7町歩)
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の水田と7ライ(約1.1町歩)の畑を持つ有機農家です。日本の農家と比べるとずっと広い土地を耕しているようですが、イーサンではこれで平均的な広さです。
住宅
住宅は二階建て。質素です。一階は食事をしたりくつろいだりする場所ですが、洪水や毒虫、ヘビ、動物を避けるため、寝室などは二階に作ってあります。余分な電化製品はありません。テレビ、ラジカセ、冷蔵庫、扇風機、蛍光灯といったものぐらいで、その他プロパンガス用の一口ガスコンロ。
水道はありますが・・
水道はちゃんと引けています。でも飲み水は天水桶にたまった雨水を使っている。水道はあっても飲めないなんてちょっと考えられませんが、これは日本以外のほぼ常識なのかもしれません。
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1ライ=約16a(1.6反)
スリワウライさんの自然農園
イーサンの農家では乾季には農作物がほとんど育たないため、多くの農家はこの季節、出稼ぎに出なければなりません。しかしながら、ぼくたちがお世話になったスリワウライさんのところでは、その必要がありません。彼の畑では潅水用のスプリンクラーの設備がしてあり、乾季でも農業収入があるからです。近くに水源があり、そこから水をひいているとのこと。
スリワウライさんの家の周りは森ですが、自然農園はその中に作られています
潅水設備のある畑はまさに森の中にあり、作物の育て方は混植が基本になっている。そのため無理な耕土の必要がなく、連作障害も少ない。もちろんこじんまりとした畑もあり、たくさんのハーブ類が育っていました。森を利用した畑なので、木々の半日陰のおかげで直射日光を避けることができ、せっかくスプリンクラーで散水した水の蒸発も防ぐことができる。
集会のバザーにて
家畜は豚、牛、ニワトリと一通り飼育していて、増やして売るとけっこう高い値が期待できます。
ちなみに雌の親豚で2万バーツ
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ほど。
森林を伐採してしまわない形での農地の開こんは許されているため、このような自然農法がすすめられています
家畜は農耕用としてではなく、肥育して販売します。
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1バーツ=約2.65円
ノイさんのため池農法
奥様と
もう一軒の農家を見学させていただきましたが、そちらのご主人ノイさんは土木機械の運転ができるため、借りてきたユンボで溜池をつくり、乾季でもそれを利用して果物の生産をしています。バナナ、パパイヤ、レモンなど。
池には魚も繁殖していて、食用にもなります
ため池からのポンプアップは耕運機に取り付けた揚水ポンプ使用
イーサン地方は水持ちのわるい砂土なので、乾季にはとくにすべてが乾ききってしまう。日本の冬よりもっと冬景色という感じ。雨季に降る雨は川を流れてくるというものではなく、次第にたまってそこら中が水の世界になるという表現がふさわしい感じです。雨季の雨は日本のようにじめじめだらだらしたものとは違って、毎日夕刻にちょうどバケツをひっくり返す感じで一気に降ってさっと止むというもの。
耕運機が運搬から農耕、乗用にとすべてをこなす。自動車はなく、電話も、もちろん携帯もない質素のというか簡素な生活がイーサンの片田舎にはあります。日本ではもうとっくの昔に忘れられてしまったかのような自然とともにある文化のかおりいっぱいの暮らしがあります。