05/01/10〜24
ヤソトーン




2005年1月、お米の国タイで行なわれたGMOに反対するキャンペーンとしてライスキャラバンが企画されました。この企画はグリーンピース東南アジア支部によるもので、首都バンコクを出発し、有機米の生産で知られるタイの東北部(イーサン地方)のロイエト、ヤソトーン、ウボンラチャターニ、スリンの各県を自動車のキャラバン隊で訪ね、キャンペーンをしながら廻ろうというもの。『遺伝子組み換え食品を考える中部の会』から鈴木農生雄(音羽米研究会)と石川が代表でヤソトーンでのキャンペーンに参加しました。

GM反対の運動がイーサン地方で、それも日本人も参加して行なわれるのは今回が初めてのこと。どのような反響があるのか、またどのような稲作が行なわれているのか興味はつのるばかりです。

ライスキャラバン at ヤソトーン
その前日

05/01/18

19日のヤソトーンでのキャンペーンの前日、そのための市中デモを行ないました。

ライスキャラバンの自動車3台とナーソー(クッチュムにあるお米の生産者団体)のデモ用に装飾した車2台がデモ行進に加わり、なかなかの迫力。

デモ行進は1時間以上市中を移動し、翌日のGMイネ反対集会をしっかりアッピールしました。


沿道の商店や通行人に、グリーンピースの運動員からGMイネに反対するチラシが配られました。

さすがに一般市民にはGMイネについてはなじみが薄いようで、さかんに運動員に質問を浴びせていました。

デモ行進の途中、デモ隊はヤソトーンの農協を訪問。クッチュムの村長から、GMイネを受け入れないように申入書が手渡されました。

デモ行進には物々しさはまったくなく、警察官に見守られてのおごそかなものでした。

集会当日

05/01/19

GMイネ反対の集会は、ヤソトーン市にある県庁の近くの小学校体育館で行なわれました。

県からは副知事による意見表明がありました。

ヤソトーンでの有機米への運動に対し、敬意を表する。今後はそれをさらに推進するための農業政策を約束する。GM作物は認めない。などの表明がなされました。

200名以上が参加


熱弁を振るう鈴木農生雄氏
ぼくたちがヤソトーンの農家に伝えたことは以下の3点。

@
日本のナタネ輸入港周辺で起こっているこぼれ落ちによるGMナタネの自生について
A
02年中止に持ち込んだ、愛知県農試とモンサントとのGMイネ共同研究に対する反対運動について
B
消費者と取り組んで進められる日本の減農薬米生産について


GMナタネの自主調査に使っているGM判定用の試験紙の実演をしているところ。人だかりができるほどでした。
今回の集会は、午前午後、すべてGMに関する内容でうめつくされていました。

そしてなによりもおどろいてしまったのは、生産農家のGMの問題に対する真剣な態度です。

そしてすでにGM作物への反対の意識表示がなされているのです。

GMイネをテーマにした劇。わかりやすく、楽しい内容で、子供たちの人気をあつめていました

ヤソトーン県クッチュムのナーソーのメンバーたちが、どうしてこのように極自然にGMOに対してノーの意志表示ができるのでしょう。単に有機米のほうが儲かるからとか、欧米の消費者ニーズに合わせてのこととかいう単純な理由などではけっしてない。

タイ国では県の行政は国の行政そのものといえるほど、国の力が強くはたらいています。その県行政をも有機米の運動に引き入れてしまうほどの原動力に、ぼくらも圧倒されてしまいました。

タイ国は王政国家です。国会はありますが国王の権力は絶対的といえます。たとえば国の行なうGM作物の研究について、国民に知らされることはすくない。屋外での栽培実験についても秘密に伏されてしまう傾向もあります。

しかしながら、このようなGMOに対する消費者、農家の意志表示が明確になされることの重要性を確認しておかなくてはなりません。そしてさらにそういった行動が持続されてゆくことが、GMOのマイナスの可能性を食い止めてゆくために、もっとも必要なことなのだと再確認しました。

GMOに反対する運動は政治活動などでは決してない。これはわたしたちが健康と子孫たちに残すべき自然環境を願うための活動でしかない。

イーサン地方の農家の安全な食を守ることへの強い意思。その力が彼らが受けもっているであろう、何千何万もの消費者にも強い影響力を及ぼすことはまちがいありません。

ここ米の国タイ国では、GMイネは確実に止まるのかもしれない。これはぼくたち二人の日本人が実感した印象です。



テレビ局の取材も(右端は通訳のスカンラヤさん)
バザーで売られている食べ物。その材料をたずねてみると、『米、もち米』という答が返ってきます。

小麦を材料にしたものを探すほうがむつかしいほど、米を素材にした食べ物が多い。

これほどに強く食文化に米が必要とされていることにおどろいてしまいます。

子供たちに人気のぬりえコーナー

バザーでは食べ物や衣類、苗や種の販売など盛りだくさん。それだけでお土産の買物から昼食までを済ませることができました。
たこ焼きのようですが、お米を使った甘い焼き菓子です。


グリーンピースのスタッフと
グリーンピースのスタッフはみな明るい笑顔と若さであふれていました。

運動はながく続いてはじめて意味があるのではないでしょうか。そのために楽しみながら続けてゆく。これが大切なことだと思います。