映画『モンサントの不自然な食べもの』の監督マリー・モニク・ロバンが、映画の為にみずから取材した情報のデータベース、それがこの著書『モンサント』です。

この本に詰め込まれたモンサントに関する膨大な資料は、まさに圧巻です。

深刻な汚染を引き起こしても、PCBの生産を続けたモンサント。ベトナム戦争では、枯葉剤の主メーカーとして。ここでもダイオキシン汚染。

今、ポスト・ラウンドアップとして、2,4-D、ジカンバ耐性GM作物の販売をもくろむモンサント社。有機塩素系農薬の復活で『食』と『農』は、さらなるダイオキシン汚染の危険を孕んでいます。

遺伝子組換え食品を考える中部の会代表、河田昌東さんも寄稿しています。ぜひ、ご一読ください。

モンサントがオーガニックに参入
遺伝子組換え情報室 河田昌東
遺伝子組換え(GM)市場を席巻したモンサントが、今、オーガニック市場に参入し話題になっている。既に2005年2月にはアメリカ最大の種子会社(全米の種子の40%を販売)セミニス社を買収し、2008年にはド・ルイター・シード社(世界的な野菜栽培業者)をも買収した。現在、アメリカのレタスの55%、トマトの75%、胡椒の85%はモンサント系企業の支配下にある、という。こうした野菜は勿論、非遺伝子組み換えとのことだが、モンサントは種子の遺伝子を分析し、栄養価や健康上の効能などに効き目のある成分を多く含むように交配で品種改良してすべて特許を取得している。今でもアメリカの有機農家はセミニスの種子を購入しており、結果的にモンサントの特許に巻き込まれているのである。

こうした背景にはアメリカにおけるオーガニック市場の急拡大がある。現在、アメリカのオーガニック市場の売り上げは年間300億ドル(3兆円)に達している。一方、これまでモンサントがGM食品の表示制度作りを弾圧してきた結果、GM作物を栽培してきたアメリカ大陸では表示制度がなかった。しかし市民のGM表示への要求は根強く、オーガニックへの関心も高い。昨年4月アメリカのバーモント州で初めて表示制度が採択された。また最近はEUに続いて政治的理由からロシアや中国もGMに対する規制が強化されている。このようにGM作物の将来性に限界が見えているため、モンサントは敢て非GM市場に参入し世界の種子を支配する方針に出ていると思われる。

私事だが、最近、見知らぬアメリカ人からメールが入った。「GMはオーガニックだ、あなたも同意しなさい。GM表示は要らない」といった内容だった。