国内17頭目のBSE確認、感染源解明が急務

農業情報研究所(WAPIC)

05.4.8

 8日、北海道音更町の牧場で起立不能となって殺処分された乳牛が国内17頭目のBSE感染牛と確認された(農水省発表)。BSEの症候を示した牛でのBSE確認は国内最初のケースに次ぐ2頭目となる。この牛は2000年9月生まれで54ヵ月齢(4歳6ヵ月)の雌のホルスタインという。03年10月、11月に確認された23ヵ月齢、21ヵ月齢のケースを除くと、昨年10月にやはり北海道で確認された2000年10月生まれの(当時)48ヵ月齢の死亡牛に次ぐ若さでの確認牛となる。

  異例の若さで確認された2頭を除く確認牛15頭中の12頭までは95年12月から96年8月までの生まれであった。その他は99年生まれ1頭、2000年生まれ2頭となる(表参照)。96年から99、2000年までには相当の開きがあることから、96-96生まれの牛とは別の感染源が推測されてもおかしくはない。しかも、確認月齢が比較的若いことから、95-96年生まれの牛よりも比較的多量の感染源に暴露されたのではないかとも推測される。もっとも、この点については、95-96年生まれの感染牛は相当数が見過ごされ、あるいは闇に処分された可能性があるから、不確かではある。

 汚染肉骨粉・獣脂かすが感染源と仮定すれば、既に国産牛群に現実にBSEが存在し、感染牛が特定危険部位(SRM)も除去されることなく肉骨粉等に加工されていたことは否定できないから、国内感染源からの感染も十分に考えられる。しかし、輸入肉骨粉・獣脂かすからの感染の可能性も決して排除はできない。この場合の感染源は、95-96年生まれのケースと同じかもしれないし、異なるかもしれない。ともかく、イタリア・米国・カナダのようなリスク国や中国等アジアのリスク不明国(EUの扱いでは「高リスク」国になる)からの輸入が多すぎる(⇒日本の「肉またはくず肉の粉、ミール、ペレット、獣脂かす」輸入量,01.10.27)。これらの国はすべてSRMを除去していなかった。感染源がどこから入ったか、当面は見当もつかない。

 ともあれ、2000年生まれの牛の感染が2頭となったことは、かなり衝撃的だ。2000年前後の生まれの牛に相当の感染があるのではないかという疑いを強める。感染源解明への一段の努力が改めて要請される。それが解明されるか、見当がつけられないかぎり、BSE発生リスクの定量評価、従って人間への伝達のリスクの定量評価など全く信頼がおけないものになるだろう。少なくともいままでの評価は根本的に見直す必要があるかもしれない。「専門家」は、当面、定量評価でなければ「科学的」評価の名に値しないなどという似非科学に見切りをつけ、何よりも感染源解明に努力を注ぐべきだ。

これまでの感染牛の出生・飼育県と出生年月・生後月齢
(すべてホルシュタイン種)

最終確認年月日

確認例の出生・飼育県

出生年月と確認時の生後月齢

01.09.21

北海道・千葉

96.03、66

01.11.21

北海道

96.04、67

01.12.02

群馬

96.08、68

02.05.12

北海道

96.03、71

02.08.23

神奈川

95.12、80

03.01.20

北海道・和歌山

96.02、81

03.01.23

北海道

96.03、79

03.10.06*

栃木・福島

01.11、23

03.11.04**

兵庫・広島

02.02、21

04.02.22

神奈川

96.03、95

04.03.09***

北海道

96.04、95

04.06.13

熊本

99.03、62

04.09.23

奈良

96.02、103

04.10.14***

北海道

00.10、48

05.02.26***

北海道

96.08、102

05.03.27

北海道

96.03、108

05.04.08

北海道

00.09、54

*非定型BSE、去勢雄ホルスタイン、**定型、去勢雄ホルスタイン,***死亡牛