ISIS Report

July 19, 2001

訳 山田勝己

GMエイズウィルスはさらに致命的

 

研究者達は次々と致死的ウイルスを作り出しており、遂に人と猿のエイズウィルスのハイブリッドで、ウイルスに対する免疫反応を抑制するインターロイキン遺伝子の入った”SHIV”というウイルスを作り出した。 同時にインタールーキン遺伝子を組み込んだGM作物が開放圃場で栽培されている。 ジョー・カミンズ博士とメイ・ワン・ホー博士は、この野外と研究所内の実験を別々に承認することの危険性をバイオセーフティ委員会で取り上げているのか疑問を投げかけている。

 

 ("Genetic engineering superviruses" ISIS News 9/10, July 2001 参照).

 

今年1月、オーストラリアのキャンベラで、GMマウス・ポックス・ウイルスが作られ、全てのマウスが犠牲になって死んでいる。これは免疫反応時に胸腺(T)ヘルパー細胞を制御するサイトカイン・グループに属する蛋白質のインターロイキン4をコードする遺伝子を、マウスポックスに挿入しただけのものだった。この致死性ウイルスはマウスポックスウイルスの予防接種を受けたマウスの半分をも死に至らしめている。(Geneticengineering superviruses参照)

 

殆ど世界に知られていないことだが、日本の京都大学でもっと恐ろしいものが作られていた。 エイズの進行におけるサイトカインの役割を調べるために、人間のHIVウイルスのいくつかの遺伝子を人と猿の細胞に感染できるウイルスSIVの中に組み入れた、“SHIV”というキメラ(相の子)ウイルスを作った。このSHIVに、人間の色々なサイトカイン遺伝子を挿入して、細胞培養や実験的にGMウイルスに感染させた日本猿でウイルスがどのように複製して行くのか調べようとした。

 

去年報告された最初の実験では、キメラウイルスのHIV配列から遺伝子一つを除去したSHIVに、人間のインターロイキン6(IL6)遺伝子を挿入している。 除去したことでSHIVの複製は遅くはなったが停止はしなかった。 エイズに罹ると、IL6が増えてHIV患者の免疫異常を起こす事が知られている。 合成したGMウイルスは、猿や人間の末梢血管単核細胞だけでなく、人間の胸腺細胞系で複製し、IL6がかなり発現している。

驚いたことに、挿入遺伝子は人の胸腺細胞系で少なくとも4世代に渡って安定であった。

GMウイルス中のIL6遺伝子は、ウイルスの成長を早める可能性が指摘されている。

 

つい最近の2つ目の論文では、人のインターロイキン5の遺伝子IL5を、別のHIV遺伝子を除去した2つのSHIVに挿入した実験をしている。 この場合もGMウイルスは、IL5が非常に高く発現し、人の胸腺由来の細胞系と猿の末梢血管単核細胞で安定して複製している。

 

研究者によると、「IL5を持つ2つのSHIVの複製は、IL5を持っていない親ウイルスよりも早いようだ。 この結果は、試験管内ではIL5が同時に発現することでSHIVの複製を促進することを示している。 従って、IL5の発現は、ウイルスの複製と体内での病原性に影響があると予測できる。」という。

 

研究者自身が認めているように、SHIVのようにインターロイキンを持たせた構造のキメラウイルスは、人や類人猿の双方に脅威をもたらすものだ。 人が感染したり、ウイルスを注射された実験猿が逃げたりして、これらのウイルスが意図せず放出されることを深刻に懸念しなければならない。 これらのGMウイルスは、容易にさまざまなウイルスと組換えを起こして、少なくともインターロイキン遺伝子を受け渡し、相手のウイルスの毒性をより強くするだろう。

 

インターロイキンを持つSHIVキメラを作る危険性より、ウイルスの増殖を促進する過程でのインターロイキンの役割を知ることのほうが有益だと言えるのか? そうは思わない。 このような試験研究は、安全と動物福祉の観点から決して許可されるべきではなかったものだ。

 

インターロイキンをGM植物で生産する実験が同時進行している。 インターロイキン遺伝子を組み込んだ作物の試験栽培がある国で行われた。植物が傷ついたり根が切れて土壌や地下水が汚染されるリスクを考慮せずに実験が承認されている。 

鳥類やほ乳類は試験作物の汁を吸う昆虫を容易に食べる。インターロイキン遺伝子は人間や家畜、野生動物に食べられ、花粉によって他の作物や雑草に拡散するだろう。

インターロイキンは免疫反応や免疫記憶を抑制し、ウイルス病を広めてしまうことになる。

 

さらに、様々なウイルスがインタールーキン遺伝子をGM作物から取り込み、自然界で最強のウイルスよりも致死的になってしまうかもしれない。

 

医薬品目的の圃場試験やGM作物栽培場所が公表されていないので、破壊的なウイルス性の病気が人間やペットや野生動物に拡がって、初めてそんなものが近所にあったのか、ということになりかねない。

 

  1.. Jackson R, Ramsay A, Christensen C, Beaton S, Hall D and Ramshaw IExpression of mouse interleukin 4 by a recombinant ectromelia virussuppresses cytotoxic lymphocyte responses and overcomes genetic resistanceto mousepox. J Virology 2001, 75,1205-10.  2.. Haga T, Kuwata T, Kozyrev J, Kowfie T, Hayami M and Miura TConstruction of a SIV/HIV type 1 chimeric virus with the human interleukin 6gene and its production of interleukin 6 in monkey and human cells. AIDSResearch and Human retroviruses 2000, 16,577-82.  3.. Kosyrev, Miura T, Haga T, Kuwata T and Hayami M. Construction ofSIV/HIV-1 chimeric virus having the IL-5 gene and determination of theirability to replicate and produce IL-5. Arch Virol 2001, 146,1051-62.