反GMイネ生産者ネット#202
●2002/10月 ひこばえ通信より
日本に輸入される農産物
遺伝子組み換え食品
大野和興
いつのまにか遺伝子組み換え作物の作付けが世界中に広がっている。このままでは否応なく、私たちは毎日の食卓で遺伝子組み換え食品に直面せざるをえない、そんな状況におかれている。
遺伝子組み換え作物の作付面積は、2001年で5000万haを越えた。日本の耕地面積の10倍以上である。もっとも、地域的には大きな偏りがあり、作付け地のほとんどはアメリカとカナダ、アルゼンチンに集中している。いまや南北アメリカは、遺伝子組み換え作物のメッカなのである。
トウモロコシと大豆の場合
組み換え作物の多くは、トウモロコシと大豆。いずれも国際商品であり、作付け地域は世界への供給地である。例えば、アメリカ大豆は世界の大豆供給をほぼ一手に握っているが、アメリカの大豆栽培面積の約70%は組み換え品種で占められている。ちなみに大豆自給率4%の日本の場合、輸入量の74%はアメリカからである。また、トウモロコシ自給率ほぼ0%の日本では、年間1600万トンあまりを輸入しているが、その96%はアメリカ産である。そのアメリカでは、トウモロコシ栽培面積の25%が組み換え品種で占められている。つまり、この2品目については遺伝仕組み換えを疑わないで摂取することはもはやできないまでになっていることを、いまの状況は意味している。 トウモロコシ、大豆ほど幅広く使われている食品はない。食用油、味噌、醤油、スナック菓子、豆腐、納豆、それに家畜の飼料。あげればきりがないほどだ。しかもこれらの食品については、遺伝子組み換え表示がきわめてあいまいなのである。
抜け穴だらけの表示制度
日本でも2001年4月から遺伝子組み換え食品の表示制度が始まったが、遺伝子組み換え原料の含有量が5%以内なら「非組み換え」という表示が許される。さらに食用油や味噌、醤油などは、加工段階で組み換え遺伝子が分解するため検出が難しいという理由で、表示義務がない。また、もっとも大量にトウモロコシ、大豆を使う飼料にも、表示義務は課せられていない。知らず知らず、私たちは遺伝子組み換え食品を食べさせられているのだ。
遺伝子組み換え食品を拒否しようと思えば、地域で作ったものを地域で加工し、それを食べる、加工品まで含めた地産地消を追求する以外にない。
※ 11月17日、名古屋で『ストップ!遺伝子組み換えイネ全国集会』が開催されます。関西よつ葉連絡会としても賛同団体に加入し、集会に参加します。会員の皆様もふるってご参加ください。
●02/10/16 日本農業新聞記事より
遺伝子組み換えのリスクを考える
農水省が来年度草の根交流開始
農水省は、遺伝子組み換え(GM)作物について、リスク(危険性)を含めてみんなで考える事業を来年度から始める。同省はこれまでにもパンフレットを作ってGMへの理解を訴えてきたが「これでは不安は取り除けない」(技術安全課)と判断。地域で草の根交流をしながら、GM技術についての理解を深めてもらう計画だ。
草の根交流では、「メディエーター」と呼ばれる専門知識を持った人を養成。これまでのようにGM作物のいい面ばかりを強調するのではなく、「危険性がゼロということはありえない」(同)ことを念頭に置き、欠点も含めた正確な知識を広める。すでに全国7か所で養成が始まっている。
草の根交流は、このメディエーターが中心となって、市民と行政側がGM作物のどこが不安なのか、などを議論。最終的には100人規模のシンポジウムを開き、国に対して市民側から提案を出しでもらう計画だ。
農水省では「国から一方的に情報を出すのではなく、生産者や消費者はどう思っているのか、相互理解を進めていきたい」としている。