遺伝子組換えコーンが水界生態系に及ぼす影響

http://www.organicconsumers.org/articles/article_7558.cfm

 

インディアナ大学

記者発表(2007108日)

インディアナ州ブルーミントン発

 

訳 KaTZE

 

インディアナ大学で行われた研究で、環境科学の教授をはじめとする数名の研究者たちは、世界中で広く栽培されている系統の遺伝子組換えコーンが水界生態系に有害である可能性があると指摘した。この研究結果は今週の 米国科学アカデミー機関誌Proceedings of the National Academies of SciencesPNAS)に掲載される。

 

インディアナ大学行政環境大学院の助教授ToddV.Royerなどの研究者たちは、遺伝子組換え作物であるBtコーンの花粉や植物体の他の部分でつくられる毒素が、コーン畑から近くの河川に流入するということを明らかにした。

 

彼らはさらに実験室での調査を行い、Btコーンの標的害虫に近縁の水生昆虫であるトビケラが、Btコーンの副産物を摂取することで成長が阻害され、死亡率が高くなるということを発見した。

 

トビケラの類は「魚類や両生類など、より高等な生物の食糧源となる。」とRoyer氏は語る。「我々が健全に機能する生態系をもつことを目標にするなら、その中に住むすべてのものを保護しなければならない。われわれは多くを水資源に依存しているのだから。」

 

「遺伝子組換え農作物の生産する副産物の中の毒素が河川上流の生態系に影響を与える可能性」と題する研究には、他にもロヨラ大学のEmma Rosi-Marshall、ノートルダム大学のJennifer Tank南イリノイ大学のMatt Whilesなどが主任研究者として関り、その研究費用は全米科学財団により賄われた。


Btコーンとは、遺伝子組換え操作により、バチルス・チューリゲンシスという微生物の遺伝子が組み込まれたものである。この遺伝子が組み込まれることによって作物は、特にアワノメイガなどの害虫から自己を守るための毒素を生産するようになる。Bt コーンは1996年にその使用が認可され、あっというまに人気を獲得した。同研究では米国農務省のデータを引用し、2006年の時点で米国のコーン畑の面積の35パーセントが遺伝子組換えコーンで占められていると報告している。


Bt コーンが認可される前に米国環境保護庁は試験を行い、Btコーンが水生生物相に与える影響を調査した。しかしこの試験で使われたのは、毒性検査に一般的に用いられる甲殻類に属するミジンコであり、標的害虫により近縁な昆虫ではなかった。とRoyer氏は言う。


 Royer氏はGM作物を栽培することによって不測の結果を招いた場合、農家がその責任を負うべきではないと強調する。競争力を求められる農業経済において、生産者は可能なかぎり最高のテクノロジーを使うべきである。


「新しいテクノロジーはどれも利益とリスクを併せ持っている。」と氏は言う。「私は、広範に栽培されているBtコーンに関わるリスクについては、まだ完全なアセスメントが済んでいないと思っている。」


使用の拡大が続いているBtコーンが、オオカバマダラに有害な影響を及ぼす可能性があることを指摘した報告書が1999年にリリースされた時、人々の間に懸念の声が広がった。しかしその後、米国農務省農業研究部のコーディネートで研究が行われ、オオカバマダラに特に大きな被害を与えていないとする結論がPNASに掲載された。Royer氏は、「このころ、同僚たちと共に、Bt毒素がコーン畑の近くの河川に流入する可能性があるかどうか、もしあるとすれば、水生昆虫に影響を及ぼすのだろうかと考えるようになった」と、話す。


 Royer氏らの研究は、2005年から2006年の間に、集中農業が行われているインディアナ州の北部地方で行われた。12の河川上流にリタートラップを仕掛けてBtコーンの花粉と副産物(葉や穂軸など)を捕捉し、その内容物を観察した。彼らはまた、いくつかのトビケラの腸内に花粉を見つけ、これらの生物がコーンの花粉を食していることが明らかになった。

 

研究室での実験では、Btコーンの葉を与えられたトビケラが、非組換えのコーンのそれを与えられたトビケラと比較して、半分以下の成長率を示すことがわかった。さらに、別種のトビケラでは、実験サイトで見つかったBtコーンの花粉量における最高値の2倍から3倍の量を与えられた場合、死亡率が著しく増加することがわかった。

 

 Royer氏は、調査が行われた場所によって、見つかる花粉や副産物の量には大きな差異があると言う。さらに地理的なバリエーションも著しいと思われる。例えば、アイオワ州やイリノイ州ではインディアナ州に比べてより多くのBtコーンが栽培されている。トビケラの死亡率を高めたBtコーンの花粉の量は、氏によると、「コーンベルトの西部を流れる河川の水中の状況を代表しているのかもしれない。」

 

 

 

 

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