農林水産省に対する
      行 政 交 渉
  日 時:H15年8月6日
  場 所:衆議院第2議員会館会議室

遺伝子組み換え作物試験ほ場などについて

(1)
茨城県河内村の日本モンサト社の遺伝子組み換え試験圃場に関連して、以下についてお答え下さい。見学したところ、GMトウモロコシが栽培され、またGM大豆のすぐ近くに国産の在来大豆(納豆小粒・丹波黒豆・田の畦豆など)が同時に栽培されていました。メッシュフェンスのみで緩衝地帯もなく、樹木もなく、直ぐ隣の農家の畑にはトウモロコシが植えられていました。
@隔離圃場は組み換え遺伝子を隔離することを意味しなければならないと考えるが、モンサントの河内「隔離圃場」は農水省がその要件を満たしていることを確認したのか。
A5cmメッシュのフェンスで花粉が隔離できると誰が判断したのか。
B花粉が飛散する状態を放置し、GM遺伝子汚染を野放しにするのは日本農民や国民の権利侵害であり、企業による横暴、侮辱行為だが農水はそれを認めているのか。
Cこのような隔離圃場は何ヶ所あるのか。全てに改善命令を早急に出してもらいたい。
D望まない遺伝子を交雑させる権利は誰にもない。即刻焼却による廃棄処分にするよう業務命令を出すべきだがどうか。
E農水が行動しない場合は農民として、国民として権利を行使するが宜しいか。
(2)
花粉の飛散について、前回生井兵治氏の論文を引き合いにだされました。生井氏は「遺伝子組み換え植物と非組み換え植物との間でこの種(花粉による交雑)の混入が生じれば、本来的な集団の特性が損なわれ、やはり栽培農家や消費者さらには自然生態系に憂慮すべき問題が派生し得ます」

また「除草剤耐性などを付与された遺伝子組み換え品種の栽培地域に同種の非組み換え品種が栽培されれば、両品種の間で花粉飛散に起因する交雑によって遺伝子流動が起こり得ます。このことに関連して重要なことは、虫媒・風媒を問わず、生殖的隔離機構(交雑不親和性)は、植物の内的・外的要因や受粉の様態により消失することがあるということです。」(「土と健康」NO.342)と指摘しています。
また生井氏は採種圃場における他品種との一般的な隔離距離(1989年)を実験によって示しています。そのなかでほぼ完全な自殖性植物と分類した大豆の隔離距離は30メートルとなっています。
この隔離距離は商業的許容範囲(例えば市販種子で2%以下なら混交種子が100粒中2粒までは可)内に納めるための目安であり、他品種との混交がゼロになることを保証するものではないと述べています。また備考には「環境や品種によって部分他殖性を示す心配がある」としています。生井氏の見解は、自家受粉作物であっても交雑の可能性があるということなのです。
バイオ作物懇談会が一般農地での組み換え大豆の栽培を行っていますが、普通作物との交雑汚染を防ぐためのなんの手立てもとられていません。
有機農家や近隣生産農家の作物、環境が汚染されない権利をどう守っていくのか。農水省としての方針を示してください。
もし、汚染の影響がないというならその科学的根拠を示してください。
(3)
遺伝子組み換えイネの野外栽培試験が行われているが、在来のイネへの遺伝子汚染を起こさないことが担保できるいかなる措置を採っていますか。
(4)
組み換え大豆および組み換えイネの野外栽培がおこなわれていますが、万一遺伝子汚染が起こった場合、現状回復および被害補償の費用は誰が負担することになっていますか。
(5)
交雑を完全に封鎖できる体制および、人間を含めた生物への懸念が高い抗生物質耐性遺伝子を使わない組み換え技術の転換など問題が解決されるまで、圃場での栽培を中止するべきではないですか。
(6)
このたび厚労省が安全確認した遺伝子組み換え品種同士の後代交配種について農水省が確認した環境影響評価の内容はいかなるものですか。
以上、質問事項


当方側からの質問
農水省からの回答
議 事 録
日時:
03/08/06
場所:
衆議院第2議員会館会議室
出席:
農水技術会議(齋藤京子事務局安全課長ほか)
商品安全局、生産局

茨城県河内村、モンサント試験ほ場について(1)
隔離ほ場が条件を満たしているのか:
これについてはGM作物の開放経理用に先立って行われる、模擬的環境利用を行うための施設の用件が決まっていて、模擬的環境利用に関わる隔離ほ場の施設整備方針がH.5に技術会議の事務局長名で出ている。
そのほかには作業区域を明らかにするとか、部外者の侵入を防ぐためのフェンスが設置してあるか、排水・作業従事者への付着により、GM作物の種子、残渣が外に出ないようにするための洗浄装置を設置するようになっている。
またGM作物などを焼却するための焼却装置を備えることになっている。
日本モンサント社の河内研究所の隔離ほ場については、H.11年6月30日にGM植物利用計画ということで、除草剤グリフォサートの影響を受けないGMイネ系統の安全性評価の環境安全性を申請する書類の中に、ここが隔離ほ場という風に位置づけられている。その時に現地に行って、この隔離ほ場要点を満たしているかどうかについて確認を行って、認めている。
隔離ほ場についての@:
その後、H.15年、今年の4月28日にもリジン含有を高めたGMトウモロコシの安全性評価をその隔離ほ場でやりたいという申請があった。そのとき、隔離ほ場としての要件を確認している。ただ、H.11年と現場とは変わらないということで、現地へ行って確認はしていない。
隔離ほ場についてのA:
5cmメッシュのフェンスで花粉が隔離できるかということだが、基本的には、GM利用計画をあげていただくときに、条件として周りにGM植物と近縁の野生種が周辺に自生していないか確認することとなっている。
また周辺で、同種類の作物を栽培していないか、交雑を避けるための措置をとることを義務付けている。
今回の日本モンサント社が申請の対象になっている隔離ほ場は、トウモロコシで大豆ではない。
大豆は安全性の承認が下りている。トウモロコシは周辺で非GMトウモロコシの栽培が行われる可能性があるため、利用計画を認める際の条件として、トウモロコシのゆうずい(穂のようなもの)を出穂したら抜き取ることを条件としている。だからGMトウモロコシの穂から花粉が飛ばないように毎日穂を取っている。周りは暴風網で仕切られている。同時にトウモロコシの試験ほ場のGMトウモロコシの周りに、非GMトウモロコシを約3mの緩衝帯を設けて飛散防止措置をとっている。
今回のトウモロコシの試験は、花粉の稔性を調査するものなので、調査に必要なトウモロコシのユウ瑞には花粉をかけて、必要な花粉を取り、後に処分している。必要でないユウ瑞はすべて人の手で毎日切除している。
モンサントの研究ほ場の中に転地用ということで大豆が植わっていたと思うが、それは隔離ほ場ではなく、承認されたものであるが、この大豆についても近隣の大豆で開花期がずれるようにしている。開花期の違いも確認している。
仮に開花期が重なる場合には、近隣の大豆をモンサント側が買い取ることも考えている。今のところそのような状況は起きていない。
近隣に10m以内交雑可能な大豆がないようにしているし、開花もずれるようにしている。

大豆の交雑率はもともと自家受粉で非常に低い。しかも花が閉じているうちに花粉の受粉が行われる。という特性を持っている
隔離ほ場についてのB:花粉は飛散しないようにモンサント農場では確保されている。組み換え体
隔離ほ場についてのC:
隔離ほ場が全国で何箇所あるのか:
組み換え体利用計画の申請とあわせて、隔離ほ場を設置するというのが書類上あがってくる。それがH15年度現在では全国で8箇所ある(独立行政法人の環境技術研究所を含めて)。いずれも隔離ほ場としての要件を満たしている。
隔離ほ場についてのD:
交雑を避けるための措置をとっているので、焼却による廃棄処分の業務命令を出す必要はないと考えている。
隔離ほ場についてのE:
質問の種子がはっきり理解できない
@について:
雄穂を毎日検査して出てきたものを切り取り処分するのか。
パートさんを入れて切除していると聞いている。
間違いなくやっているのか
現地確認はしていないが、承認の前提としてすることになっている。
承認後の管理がきっちりされているかどうかを確認しているのか。
このトウモロコシについては、7/31から雄穂の出穂が認められているということなので、毎日切除している。
モンサントの報告ですね。
そういうことだ。私どもで契約書どおりに行っているかどうか、直ちに確認に行きたいと思う。
これから確認するのか。
申請の条件になっている。そういう風にやるという確認を申請者からしている。
写真があるが、モンサントほ場を道路を隔てたところに普通のトウモロコシが植わっている。こちらで確認したときには、もうトウモロコシのみがなっていた。それを雄穂を抜くのを条件に許可したというが、本当に穂が出たときにきっちり取っているのか確認ができていない。これから行って確認するとおっしゃった。
道路を隔てたトウモロコシを交雑していないかどうか見るには、近隣のトウモロコシのDNAを鑑定しなくてはいけない。今回の騒ぎが起こっている間に、農水が見に行くときには刈り取っているに決まっている。
大豆は花粉が飛ぶときに近隣に同じ花粉のステージのものがないということだ。雄穂の切除は、出掛かるときにしなくてはいけない。
建前はそうかもしれないが、それが実際行われているかどうかはわからない。(鑑定を)してくれるのか。
周りはスイートコーンでモンサントのは伝とコーンだ。花粉の飛散を完全に抑えるということで承認しているのでそのチェックの必要はない。
申請後も守られているかどうかを確認する必要がある。周りの作物からDNAをとってGMトウモロコシの遺伝子が含まれているかどうかの確認をモンサントに要求してもいいと思う。
スイートコーンは通常早く穂が出るので、開花時期などを現場へ行って調査してみる。
周辺というのはどのくらいの距離か。
花粉の飛散にはまず時間的に隔離するのがいちばんで、通常のスイートコーンは早稲で早く穂が出る。実はモンサントのほ場へいないが、出穂がでんとコーンとスイートコーンでどのくらい時差があるのかとか、時差があってもちゃんと穂を取っているかということを確認すればよいと思うが、必要なら我々が出向く。
花粉の寿命はどのくらいか。
状況でちがうが、湿度90%以上の時には、1〜1.5日以上稔性、寿命があるといわれているが、空気が乾燥していると寿命が数時間になったりする。
生井先生もそう言って見える。
穂の先と根元とでは、1〜2日くらいの差がある。
めしべの寿命は2週間では・・。
今は雄の話をしている。
穂が出始めて出てしまうのに1日か2日かかり、それから1〜1.5日生きている。
河内のモンサントの出穂状況について、モンサントの報告以外に確認しているか。
していない。
今年は気候が例年とは違うので、これから確認に行って間に合うのか。
雄穂の出穂状況については、つかんでいない。その前の栽培状況はつかんでいる。
全国8箇所の隔離ほ場があるが、他の7箇所ではちゃんと守られているかどうかの確認はしてきたのか。
当方の課が全国を回って確認するということはしていない。ただ独立行政法人が隔離ほ場の試験検査をしている。つくばでは確認ができている。
ちゃんと報告書が出ているのか。
報告書を求めるということにはなっていない。
それぞれのほ場で開花期や雄穂をいつとったという報告がなくてはおかしい。
モンサントだけが雄穂を抜くことになっている。隔離ほ場の立地によって、穂を取るかどうかなど、ケースバイケースで行うことになっている。
雄穂を抜くというのは最初からの条件だったのか。
モンサントの隔離ほ場については、トウモロコシを隔離ほ場で栽培する場合、H11年からその指導をしている。
H15のハイリジンの栽培の申請書を見せてもらえるか。
見られる。
農業環境研究所では間にトラッピング用の植物を植えたり、排水施設もかなり厳密だ。モンサントの場合は排水もずさんである。調査したときにはどうだったのか。
農業環境研究所の隔離ほ場は日本で一番目に農水省の認可を得たものだ。防風林についてはそれ以前の景観をそのまま残すため。環境を変えないようにしている。排水は、農業環境研究所では将来微生物についても
研究を行うかもしれないということで備えている。
隔離ほ場の3つの条件に排水施設の具体的な項目があるが・・。
隔離ほ場にはその条件はない。植物だけを扱う場合はそうではない。
土壌の微生物相にも注意を払っているのか。
モンサントでは水田でも畑でも、その中での微生物相の調査は同様の項目の中でしていると思う。
パートさんのタイムカードを含めて記録を出してもらえるか。いつどう作業をしたか、何人で行ったかなど。
環境リスクに与える影響ということで調査項目にある。
モンサントほ場での土壌微生物への変化、汚染がないかどうかのデータは農水にあがってきているか。
サンプルは種をまく前と生産途中と収穫期の3点でとる。報告書が出るのは年末になる。STAFFで申請書と報告書は閲覧できるようになっている。
モンサントほ場は交雑を考えるときわめて不備だということがいえる。近隣の農家ではGMの試験をしていることを知らない。農業委員会、農協、役場へ行き、農家の理解を得ているという確認をしているか。地目は農地ですかどうですか。
トウモロコシについての栽培条件はできている。大豆については既にえさ、食品、環境としての承認の取れているものなので、日本全国どこでも栽培しても安全性に問題はない。それ(大豆)を下のほうの水田に今年は植えている。だいずと10m以上話すとか、開花時期をずらすとか、万一開花が一致したときはその農家から買い取るというような対応をすることにしていると聞いている。
隔離ほ場は毎年申請書とセットで認めている。その試験をするのにふさわしいかどうかで認めている。
先ほどはH11にイネで確認したと聞いた。こんかいのH15にはトウモロコシで変更がないから確認しなかったと言った。
現地に行かなかったということだ。書類で行った。汚染はないように対応するということで承認している。
雄穂を切り取っては実験にならないのではないか。
今回は花粉の稔性を見るということだ。
将来実を採るという段階では、実験はできなくなり、これ以上の実験はやらないということになるがどうか。
人工的に袋で花粉を採って、花粉の稔性、Btなら毒性の調査のために人工的に受粉させることはできる。
今年は雄穂を切り取るということでいいが、来年は実を成らせ、花粉を飛ばすことになる。あのほ場で3mの緩衝帯ではだめで、本来トウモロコシは200m置かないと種を採るには不足だといわれている。来年はどうするのか。
隔離ほ場は組み換え体の模擬的環境ということになっていて、基本的には作物そのものが雑草製がないかなど、つまり悪いことがないかということと、他の生物に影響がないかの2点を確認するためで、リジンが安定して発現するかしないかということはあらかじめ米国で確認済み。日本では環境影響があるかどうかを調査するのが隔離ほ場の目的となっている。隔離ほ場で実験する場合、交雑の可能性がある実験は認めない。
抜き打ちの検査やDNA鑑定などをしないとやりたい放題だ。
おしべは2mくらいの高さがある。それを脚立か何かを使って、40cmの間隔のトウモロコシの雄穂を、一反以上の畑で、パートさんが何人でどのように抜いたのかの記録を出させてもらえないか。
7/31に穂が出ていた。パート2人で作業をすると聞いたが、できるのか。また穂を取ってしまうことで環境影響が調べられるのか。
土壌微生物とか、どういう虫が飛んでくるかとか、周りの雑草に対する影響などについての実験はできるだろう。
雄穂はどのように切り取るのか。
少しでも出てきたら取ればいい。
今回のリジン含有トウモロコシの利用計画通りにいっているかどうかを確認する。
作業状況について、開示をしてほしいという要求があったとモンサントに伝える。
本当に雄穂は切り取られているのか。7/31には出ていた。
それは周りのデントコーンのものだろう。今断定できないがそれぞれ系統がちがうので、開花時期も違う。確認は取るようにする。
近隣の農家は今までは知らなかった。説明はしても理解が難しい。消費者にとっても買わないほうがよいということになる。
そういったことすらも説明がついて安全であるという確認を持たせないと、隔離ほ場でGM作物を作るのには問題がある。
なぜ日本でGM作物が認可されているにもかかわらず作られないのか。もし作っても周りに迷惑がかかるとか、売れないだろうとか言う非科学的な理由によるものであったりする。そういった部分でさえ安全性を納得させられない限り、隔離ほ場での実験は問題がある。
H10の40−3−2の大豆実験は、農業環境研究所、STAFF、モンサントの共同だった。モンサント、デュポンなどとの共同研究はあるのか。
旧農水の試験研究機関、九州農業試験場、農業環境研究所、那須の草地(そうち)畜産センター(畜産草地研究所)で行っている。つくばの農業環境研究所はジュポンとの共同です。STAFFへゆけば情報の開示をしている。
国として包括的な責任を取る必要があるのではないか。国は1チームとして参加しているわけですね。
国には専門委員会などの計画が正等かどうか認めたり報告書が正しいかどうか検討するシステムがあるので、それが終わったものはSTAFFで開示されていると言っている。
承認をした包括的な責任は国にあるということですね。
そうです。
隔離ほ場ではトウモロコシなどの花粉の飛散は認めないということか。
花粉が飛散して交雑しないようにして試験をやる。
隔離ほ場を卒業して、一般ほ場でできるようになった場合、そのときは花粉は飛散してもいいんですか。
一般ほ場の栽培または??というのがあるが、ここに至るのに必要なのが隔離ほ場のプロセスである。ここで周辺生物相への影響、雑草性等、環境への影響リスクを隔離ほ場の中のデータなどを踏まえて審査し、一般ほ場で栽培していいということになると、エサとして利用する場合、あるいは食品として利用する場合は、そちらのほうの食品安全委員会の承認をとってもらう。ラウンドアップ耐性大豆であったとしたら、一般ほ場での承認がとれ、食品としての承認が取れて商品化ということになる。
既に承認を得たものであれば、それが花粉を飛散して交雑してもいいということか。たとえば近隣の有機農家が交雑されてしまう場合、認証は取り消しとなる。有機農家が交雑されては困るという権利はどうなるのか。
谷和原村のバイオ作物懇話会のしているようなことに対して、法律的にはどうなのか。
安全性の確認されたGM大豆を栽培する場合の留意点として、昨年11月に周辺の農家との・・・
長友氏はその文章のとおりにやっていない。その文章の意味は単なるお願いでしかないと言った。だからそれを聞き入れない場合はそれでもいいわけだ。長友氏が納豆産地の大豆どころで勝手にそういうものを植えても、汚染される側はなにもできない。にもかかわらず農水は通達を出したといっている。近隣では知らない人もいるし、JAでも買い構えに刈り取るとしか聞いてなかったと言っている。そんなことをバイオ作物懇話会がしていても何の取締りもできなくて、汚染が起こってもいいということか。
安全性確認したものに関しては、汚染などの概念はない。法的に問題はないが一応コンセンサスが必要であると判断して、努力するように言っている。
法的にGM大豆は植えてよしとして、GMが近くの非GM大豆に移ったとすると、安全性としてのルールとしては違反ではないかもしれないが、たとえば勇気の大豆として出そうとしたとき、GMが入っていたら法的にだめである。
有機の栽培の基準があって、組み換えられた種子・種苗を使わないということだ。だから実際の生産管理の記録で使っていないことが確認できていれば、万一汚染があっても勇気のJASの取り消しにはならない。
それでは消費者が買わないだろう。それはおかしい。
制度はそうなっている。
生産者がいちばん心配しているのは、GMの種が非GMの種と混ざってしまって、実際にはGMを作っていないといっても作ったといわれて大きな損害を被ることがある。消費者は食べたくないものを食べさせられては困る。Btにしても、いろんな雑草への新しい影響も出てきているわけだから、どういう条件なら交雑をしないかということを研究者として調べるべきだ。環境を破壊しない条件とはどういうことかを研究者として考えるべきではないか。本末転倒である。
経済性の問題はとても大事だ。安全性が認められたものなら植えてもよい。交雑があっても仕方がないというのは失言だ。
風評被害、有機の取り消しやGMを食べさせられた場合の精神的な影響を受けてしまったことへの賠償、土壌などの環境汚染を起こした場合は一体誰がするのかと伺ったときに、モンサントであると答えられたが、実際誰が原状を回復し、責任を持つのか。
トウモロコシ、大豆、菜種、綿など、組み換え体がどのくらい花粉で交雑するのかということについては、100年を越える研究の中でデータを持っている。GM大豆だから交雑性が高まるということはない。
交雑はありうるだろう。
あり得ます。作物によってどれくらい時間的に離さないければいけないのかというデータの蓄積はある、と言っている。
谷和原村の問題もそうだが、法的にそこで作ることは法的に認められているわけで、たとえば、住民なり、有機の農家なりとのコミュニケーションでどのくらい離さなければならないのかをパブリックアクセプタンスということで話し合いを十分やった上で進めるべき問題だ。
現場ではそうなってないではないか。
谷和原村の問題は農水に問題があるとはっきり思う。自家受粉性で少ないといっても交雑がおこることもあるわけだ。農家の人たちも少しでも困る。あらかじめ、栽培認可をおろしてしまっているわけだから、周辺の農家とコミュニケーションをとるようにモンサントに「お願いします」とか対策をしなくてはならなくなった。本来ならば、交雑の危険性とか社会的な影響をすべてあらかじめ考えて、その防止策をとった上で、栽培認可をおろすべきだ。順番が逆になっているから、このようなおかしなことを起こしているわけだ。今までに栽培認可したものについてすべて見直すべきです。
わたしは担当ではないが、花粉の飛散は90メートル離れたところでは、ほとんど花粉の交雑はありえない。知的な面では問題はないと思うが、話し合いを・・・
それを今、谷和原村でどうかという問題ではない、ということだ。道路の反対側に植えたっていいわけだ。
米国、ヨーロッパでは、大豆で交雑して在来種の種のレベルで汚染していると問題になっているではないか。それは実際に起こりうることだ。非GMとして売らなければいけない種がGMで汚染しているということを心配しているのである。認可するにあたっては事前にそうならないための対策をすべきだ。90メートルと言うならば、90メートル以内に大豆畑があった場合には、作ってはいけないとか、そういうことを整備した上で、認可すべきだったのだ。順番を間違えたのだ。
気象条件とか風向きとか含めて、すべて緩衝地帯を何メートル以上置かなければならないとか、指針を出してもらえないか。
モンサントほ場とか農業環境研究所とかで条件が違う。
それぞれの地区での指針を技術会議で出すべきではないか。
それは簡単なことではない。栽培面積にもよるし、菜種など、オーストラリアの大規模実験では、2キロメートルまで交雑しているという論文も出ている。条件を設定するのは難しいと思うが、条件をちゃんと整備してから認可すべきだ。
今回の谷和原村では90メートル以上離れているので、交雑がないということで・・・
認可したのか。
認可する必要はない。
なぜ必要はないのか。
安全性が承認されている。法的に栽培を禁止することはできない。
このまま進めていくと、BSEのような問題が起こってくる。その時にモンサントの責任だからといって済む問題ではない。金額が大きすぎるし、責任を持つ会社とは思えない。
いつか非GMの農家にもGMが入っていくという事態がおこる。誰が責任を持つのか。
農水省は隔離試験などをするのは、たとえばモンサントは米国で環境影響評価をしてきたが、日本は土も風も違うから、日本でもう一回やるわけだ。日本の中でも各々違うから皆一律に決めてしまうのが、理解できない。それと、穂をちぎったり、花が咲く前に切ったりすると、雑草性しか実験できないんじゃないか。どうやって日本では交雑の環境評価をしているのか。
米国の場合と日本とでは違うから、環境影響性が違うからやるんです。隔離ほ場ではそれがあるかどうかを見る。もう一回外の試験ほ場に出してみて、ケースバイケース、北海道から九州まで違うわけだから、基本的なことは類推できるし、データもある。だから方針を出すこともできる。どこでも一つ一つしなくてはならないということはできないが。
基準を作るのか。
必要であれば。そのためのデータはある。
「お願い」というふうに出された文章で、しっかり整備されれば、今回のような問題は起こらない。このような状況下での賠償のありかたについてはどうか。
そのときのケース応じて判断される。
安全性の確認事態が納得できていない。お願いではなくて、きちんとしたルールを農水省が出すべきではないか。
食品として安全なものが在来種と交雑してもそれは安全なのだ。ただそれを気に入らないから選べるようにすべきだ。農水としての環境影響下での安全確認についていっている。
谷和原村での例はGMを植えたいというものの権利は認めても、いやだという生産者の権利は認められていない。GMを植えるための条件が必要だ。
一律に基準を作ることは難しい。今回の長友氏のグループも事前に周辺地域の理解を得るようにというのが、農水の指導だ。ただ、それが十分だったかどうかというのは判断はできない。
難しかったならば当分の間、一般各地から禁止したらいい。確信がもてるようになってから認可したらよい。それまでやめる。これに尽きる。
今後も栽培認可のおろされるものが出てくる。その時に大豆ばかりでなく、交雑を防ぐためにすべきことを作物ごとに地形など複雑な要因があるだろうが、それは研究するか、今までの成果を統合してシステムを作る。その上で認可するようにしてほしい。今までのものは再評価していただきたい。
すでにカルタヘナ議定書に対応した法律が制定されている。それに沿って再審査することになっている。そのフレームは環境影響ということになっていて、国際的に日本が劣っているとか、厳しすぎるということではない。交雑防止の基準ができていないからといって認可しないということはできない。いろいろな知見を試験場などから収集するなどして、それぞれの地域にあわせて、交雑しないように努力していくことが必要だ。その指導は強めていきたい。
それは農水がすべての責任を取るということか。
危険、安全の考え方がわたくしどもと皆様では違っている。
危機感がないんじゃないか。菜種でもトウモロコシでも米国で取り返しのつかないほど交雑が起きている。そのための法律がまったくない。日本でもいずれGM大豆の商業栽培が行われるという日を想定しているか。消費者は食べたくないといっている。売れると思うのか。
皆食べたくないものを無理して作っている。米国の力で押し込まれている。表示や規制をするなといわれるままになっている。
ヨーロッパでは交雑防止の厳しい条件をつけてそれが可能なら栽培認可している。交雑防止ができていないからといって、確認しないとはいえないということ。日本の中にGM種子は持ち込んでよいという風に受け取れる。
非GM体という農産物の表示をした場合、欧州では0.9%までは認めるということだ。消費者が受け入れなければ食べない。
作った生産者の被害はどうしてくれるんだ。
近くにトウモロコシを作れば交雑する。遠くに離せばそれは減る。一粒たりとも入ってはいけないのか。どのくらいまでなら認めるのか。少し入ることが健康、環境に影響するかといったことも合わせて検討してゆくことも必要だ。
安全ならいいという話ではない。
それは考え方の違いだ。
国内の農業がつぶれてもいいのか。
私どもでは国内栽培または、加工利用を目的とした環境の安全性評価をしているので現実に油やミソの原料で米国から大豆が入ってきている。そういったものについて雑草化してはびこらないかチェックをしている。だから、かなりの日本の食品の原材料として北米などから輸入している。認められていないGMなどをきちんと防ぐための取り組みとして環境影響評価が必要だ、と考えている。現実に現在GMのものが加工原材料には使われている。
栽培して汚染をしてしまったときにその人に責任を取らせるべきではないか。安全評価をしたものが責任を取るか。栽培したものが取るか。どちらかだ。明確にできるはずだ。栽培をする場合、近隣に汚染をさせてはいけないという一文を入れればいい。
安全評価を得たということには汚染という概念はない。交雑、混入防止の措置を行うよう徹底していただくということで出している。
それは「お願い」でしかない。
これを踏まえて近隣の農家と十分・・・
政府が責任を取るべきだ。全農、経済連にしろGM作物は扱わないと口頭で言っている。売る立場のものはGMをしたくないと言っている。にもかかわらず農水省は将来を見据えたならばそれでいいかもしれないから進める、という考え方は、今について言えばそれは合わない。これだけははっきりしている。
研究は必要である。
研究と国内栽培とは別問題だ。自治体にしろ経済連にしろ多くの農業団体はGMは扱いたくないと言っている。売れないからだ。安全だからいいではない。経済的な問題がすぐそこにある。汚染した、しないと農家同士で争えばいいというのは無責任だ。
隔離ほ場の場合は国に安全管理の責任がある。ということになっている。モンサントのしていることを信頼しているというのが前提でしかない。農水はそれをきちんと確認するという責任を果たしていない。
申請書に基づいて審査をしているのですべてを現地確認しないと承認しないという仕組みではない。
STAFFのことについて。茨城の大豆のほ場はあるタクシーの運転手の所有でたまたま乗り合わせたSTAFFのメンバーとの話し合いで決まったといわれている。
農水の研究機関あるいは外部の独立行政法人、外郭の研究機関が推進したい気持ちはわかるがそんなことまでして一般作付けをしたいなら、生産者は怒るだろう。このSTAFFとは一体どういう組織なのか。
農水の公益法人でPA(パブリックアクセプタンス)のための仕事をしている
申請書に基づいて審査をしているのですべてを現地確認しないと承認しないという仕組みではない。
STAFFのことについて。茨城の大豆のほ場はあるタクシーの運転手の所有でたまたま乗り合わせたSTAFFのメンバーとの話し合いで決まったといわれている。
農水の研究機関あるいは外部の独立行政法人、外郭の研究機関が推進したい気持ちはわかるがそんなことまでして一般作付けをしたいなら、生産者は怒るだろう。このSTAFFとは一体どういう組織なのか。
農水の公益法人でPA(パブリックアクセプタンス)のための仕事をしている。現実にGM大豆を見せるのも仕事のひとつだ。
それは越権行為ではないか。PA活動を逸脱している。モンサントとSTAFFが癒着しているのではないか。モンサントの隔離ほ場について農水の態度はおかしい。
別にモンサントに限っているというわけではない。モンサントはSTAFFの会員になっている。
STAFFは農水省の外郭団体だろう。それがモンサントを容認していると理解できてしまう。先端技術化はしっかりしないといけない。
技術自体で見たとき除草剤耐性や、害虫抵抗性という品種はGMのほんの一部である。その可能性は正当に評価されるべきだ。その一環として普及活動するのはおかしいことではない。ただ、モンサント一社の代弁をしているというわけではない。
日本の農業を立て直すのに農水の頭の中にはバイオしかない。先端技術ではない農業政策を考えていただきたい。こんな言い訳をしなくてもいいようなことをきちんと提案していただきたい。
GMを使った除草剤を使わなくてよい品種を使うというのもそのひとつだ。
農薬を使う農法はたかがここ50年だ。もっと大切な在来種がある。それを保護すべきだ。地方の固有の在来種を汚染してしまうことになる。茨城県民の大事な納豆小粒大豆を汚染させてもよいということはない。在来の技術をもっと生かせないか。
GM技術のイネを作る目標の一つとして、GMもありマーカー育種のような非GMの方法もある。そのなかの選択肢の一つだ。
慎重になりすぎて研究開発を止めてしまっては逆にモンサントに対抗できなくなってしまう。
生産局、豆類班の真鍋さん、今の話をどう思うか。納豆小粒はもともと茨城県の試験場が作った品種だ。その種については原種を守っているので汚染の心配はない。H14年全国で15万ha、大豆は栽培されているがそのほとんどが奨励品種だ。今、大豆農家も大規模化していて在来種を使っても農薬は必要になってしまう。
モンサントほ場でGM大豆と一緒に丹波黒豆とか納豆小粒などの在来のものを作っているが、目的は何か。
7/25に確認したが大豆はデモンストレーションであるRR大豆と、隣に慣行区、無施区をもうけて雑草の出具合を展示するためのものだそうだ。その周りに黒豆納豆大豆など地域のものを視察者ように展示している。
それに対する交雑があったかということのDNA鑑定結果をもらえないか。
要求があったことは伝える。
なぜ7/25にモンサントほ場へ行ったか。
課長のわたしは7/1で移動になったので環境研の隔離ほ場生物研の閉鎖系などを見せてもらい、モンサントも見に行った。
飼料にスターリンクが12年上半期から混入していることが農水のHPに公表されている。いまだにけっこうな率で汚染されている。それをずっと容認している。日本では飼料としても認められていない。飼料といえども農水省の確認を受けたものでなければならない。ここでカッコ付きになっているのだが、「我が国と同等またはそれ以上の水準の安全性に関する審査の精度を有する、外国政府の審査によって安全性が確認されていればGM混入率が1%以下であればその限りではない。」この外国政府はどこをさしていてどんな法律に基づいているのか。
飼料のGMの安全性については飼料安全法に基づいた確認制度があってそのなかで決められている。スターリンクについては混入水準以下であるとしている。米国は少なくとも混入の基準以下であると聞いている。

以下、8/6の交渉で、農水省に対して回答の要求された質問事項
(8/7の行政交渉で回答されたものについては、質疑応答を示してあります)

同等の外国政府の名前を列挙してもらいたい。
OECDの基準でやっているから、同等と認めて欲しいと要請があったアメリカ1国だけ。

モンサントほ場の雄穂を抜いている。作業の様子がわかる資料をもらいたい。
GMを環境影響評価している場所の一覧表をもらいたい。そしてその研究目的
かぎカッコの法律の根拠を知りたい。
モンサントほ場の在来種の種子のDNA鑑定。
STAFFの会員の名簿。

なぜスターリンクがまだ混入してくるのか。
平成12年まで栽培のものが、流通の過程で、農家から、カントリーエレベーター、リバーエレベーター、船そして日本へと積み込みされる段階で、それぞれ、どうしても混入があること。

回収できなかったすでに流通レベルに回ってしまったもので、在庫として一部各地に残っていたものが、そのまま出されてきたため。
スターリンクに関しては、米国でも、もちろん日本でも、検査するはずだ。その段階で検査に引っかからないのか。
もちろん検査はされているが、輸入時の検査といっても、1200万トン全量を検査することも無理だ。検査した限りでは、低いレベルということで、問題にはならない。
1回に5万トンの船で1%(混入量)としても、相当量になるのではないか。
1%はなく、平均しても平成12年上半期で、0.5%程だったと思う。データは公表している。
検査した段階で、これまでに、1%以上がなかったのか。
今年の4月までは、法的に入れてはいけないとなっていなかった。4月以降は、もちろん、1%以上あってはいけないわけだが。
1%を超えた場合は、送り返すのか。
法律上そうなる。
4月以降、そのようなことはなかったのか。
ない。独立法人の肥飼料検査所で、月1回検査している。
その飼料用デントコーンが、食品用に回ることはないのか。
飼料、餌用として減税措置を取っているので、回してはいけないことになっている。
食用に回らないと断定できるか。
絶対とは言えないが、入港した所から、直接飼料の所に行く仕組みになっているので、ほとんどないと考えられる。