農水HP『ゲノム等先端技術』
・第44回組換え体利用専門委員会の概要
(2003/4/3)

組換え植物利用計画の「農林水産分野等における組換え体の利用のための指針」への適合について
1 組換え植物利用計画の概要
(1)利用計画名:低温耐性を示すグルタチオンS−トランスフェラーゼ遺伝子導入イネ(Sub29-17)の安全性評価試験
(2)申請者:財団法人 岩手生物工学研究センター
(3)利用区分:模擬的環境利用
(4)組換え体

作製方法:アグロバクテリウム法
性  質

(ア)宿主: イネ科イネ属イネ
(Oryza sativa L. var. Sasanishiki)

品種名:ササニシキ
(イ)主な供与DNA:
a グルタチオンS−トランスフェラーゼ遺伝子
【Oryza sativa L.由来のglutathione S-transferase(GST)遺伝子】
b ハイグロマイシン耐性遺伝子
【Escherichia coli由来のhygromycin resistance(HPT)遺伝子】
c カナマイシン耐性遺伝子
【Escherichia coli由来のkanamycin resistance(NPTU)遺伝子】
(ウ)ベクターpEKH由来のpEKH-Sub29PS

(5)利用目的:我が国においての栽培及び育種母本等として利用









2 組換え体利用専門委員会が本利用計画の指針への適合を認める理由

 当該組換え体については、イネ由来の生体異物解毒機能等の細胞防御遺伝子が付与されており、導入されたグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)遺伝子は安定して後代に遺伝することが確認されている。

 当該組換え体については、閉鎖系及び非閉鎖系実験において、形態及び生育特性、生殖・繁殖特性等の40項目以上について調査を行ったが、組換え体と非組換え体との間には、初期生育時の低温耐性が付与されたこと及び穂数の増加が認められた。生育特性のうち、穂数については統計学的な差異が認められたが、これは一般のイネ品 種の特性範囲内に収まるものであった。

 また、我が国においてイネと交雑可能な近縁野生種は存在せず、雑草化の例も報告されていない。

 更に、イネに関して有毒物質産生の報告はなく、当該組換え体を用いたアレロパシー物質に関する実験においても対照の非組換え品種と差のある結果は得られていない。

 以上から、本委員会は、当該組換え体を本計画に基づき隔離ほ場内において栽培することについては、指針に適合しているものと認める。
3 利用内容 :生育及び形態特性等の評価試験の実施
4 作業区域の概要 :財団法人 岩手生物工学研究センター内の隔離ほ場
5 模擬的環境利用の実施予定期間 :平成15年4月〜平成16年11月