日本学術会議法人化法案反対の声明 | 2025年5月2日 |
ゲノム問題検討会議 天笠啓介、河田昌東、小寺隆幸、島薗 進、神野玲子 |
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私たちは、日本学術会議法人化法案に反対を表明します。 私たちゲノム問題検討会議は、これまでゲノム操作技術について市民の立場で正しく知り、理解したいと様々な分野の学者の方々やジャーナリスト、市民活動されている方々と現状や問題点や課題について議論してきました。 このたび学者の方々が参加されている日本学術会議の組織、運営などが大幅に改変される日本学術会議法人化法案が、今国会に提案されています。現在の日本学術会議法は、基本理念として戦前の軍に協力した科学者たちの反省を踏まえて「我が国の平和的復興への貢献」を謳っています。しかし、これに代えて政府が提出した日本学術会議法人化法案は、学術の位置づけに関して「経済社会の健全な発展の基盤」に改められ、政府、財界に貢献するよう活動面での政府からの独立、会員選考における自主性・独立性が大幅に制限されるものとなっています。 生殖細胞系列への遺伝子操作、農産物等食品へのゲノム編集、遺伝子ドライブ技術、iPS細胞の応用、合成生物学の取り組みなどゲノム操作技術はすさまじい勢いで拡大、進展しています。学術研究の目的は本来、真実追及のはずが、経済発展の手段と化した結果、科学者間の研究成果の競争、企業の利益優先の開発競争が激しくなり、富国強兵に基づく先端科学技術偏重政策が強化され、日本の科学技術の世界的レベルが低下しています。 しかし、科学技術は使い方によって人々に幸福をもたらす半面、軍事兵器や優生思想や差別や環境破壊につながることを私たちは学者の方々と共に学んできました。市民と科学者、技術者、医学者、法律学者、倫理学者、社会学者などが共に働きかけ、安全性の確保、環境影響、社会的影響にかかわる課題の議論、法的、倫理的規制などについて議論することは重要です。そのような議論に対して自主的、自由な活動を学者側に制限する恐れのある日本学術会議法人化法案に反対を表明します。 以上 |
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