遺伝子組換え食品を考える中部の会では2021年4月11日、三重県の国道23号、四日市市『松泉町』交差点から松坂市『小舟江町北』(35km)を経て、松坂市の製油工場周辺から鈴鹿市野町西の中勢バイパス終点(30km)のセイヨウナタネ自生調査を行いました。

本来は『遺伝子組換えナタネ抜取隊』を行うところですが、新型コロナウィルス禍の影響で昨春に続き、今春の第24回についてもやむを得ず中止としました。

今回も、組織的な動きを自粛するかたちで調査を実施。方法としては先回の調査(2020/10/4)同様A、B、C各班とも、3名(運転手、記録係、抜取り及びサンプル採取係)ずつの最少メンバー構成としました。

国道23号津市『藤方北』
総調査距離が70kmを越えるため、大半は目視での確認のみとしました。したがって、調査結果はセイヨウナタネの自生が目立つエリアのみでの抜取り実数による記録となっています。

今回の調査結果は以下の通り:
ナタネ抜取本数294。うちカラシナなどの雑草3。
セイヨウナタネの検体数は49。うち、ラウンドアップ耐性(RR+)16、バスタ耐性(LL+)20で、計36本がGM+と判明しました(GM陽性率:73.5%)。カラシナなどの雑草3検体はいずれもGM陰性でした。
国道23号津市『垂水』付近
『垂水南』付近
国道23号津市『藤方北』付近(C2-1)
松坂市西肥留町

セイヨウナタネの自生・分布状況
1年以上におよび抜取隊及び関連会社による駆除作業が行なわれていないため、自生の状況が懸念されるところですが、全体的には大きな拡大は見受けられませんでした。しかしながら、ナタネの輸送経路となっている国道23号での調査では、AからC各班で部分的な区間での比較的集中的な自生が目立ちました。確認された個体の草丈は30cm未満のものが多く、新たにこぼれ落ちた結果自生に及んでいるように感じられました。ただし、こぼれ落ちが全体的かつ継続的に起こっている状況とまでは言えないと思われます。

四日市港のエアーシャワーの効果
2018年、四日市港のナタネ積込み用ピットに設置された、輸送トラックのクリーンアップ用エアーシャワーのその後の効果が期待されるところです。関連企業の努力による、2年以上のエアーシャワー運用の結果、ナタネ自生の拡大はかなり抑制されているものと思われます。ただし、今回の調査でわかるように、まだ決して完璧な抑止にはなっているとは言い切れないというのが現状です。今後も、エアーシャワーによるクリーンアップが徹底されることを期待します。

心配された中勢バイパスでは、過去にこぼれ落ちたナタネの世代交代と思われる、比較的大きな個体の自生が見受けられる程度で、新たなこぼれ落ちによる自生は確認されませんでした。輸送トラックの中勢バイパス運行中止を敢行していただけた関連企業の努力に感謝します。
四日市市なやプラザでの検査(A班)
C班の検査の一部
C班


高木仁三郎市民科学基金
中部の会では今年度、高木仁三郎市民科学基金からの助成を得て活動しています。検査用試験紙をはじめ、GMナタネの調査活動に大きな助力となっています。

高木仁三郎市民科学基金に対し謝辞を申し上げます。