|
■映画『種子(たね)』
印鑰智哉氏のコメント
| |
|
ラテンアメリカの国々を通称モンサント法案が駆け抜けた。モンサント法案とは、農民の種子の権利を奪い、毎回、政府に登録された種子を買わなければ農業ができなくするものだ。
もし、種子を買わずに自分が保存した種子を使って栽培すれば、最悪、犯罪者として捕まったり、収穫物も売ることができずに没収される。
世界で種子企業をもっとも買収し、市場に大きなシェアを持つモンサントを利するものとしてモンサント法案と呼ばれている。
しかし、収穫物の中から次の耕作のために種子を取っておくということは古来、どこでも行われてきたことだ。それが犯罪にされるということなんてありえないだろうと思われるかもしれない。残念ながら、この動きは現在、ラテンアメリカだけではなく、アジア、アフリカ、欧米でも、そして、日本でも進んでいる。日本でも企業の知的所有権のある種子を保存したり、他の人と共有したりすればそれは種苗法違反となる。昨年大きな反対の中で成立した共謀罪でも種苗法は対象となっている。種苗法は企業の知的所有権を守るための法律である。
■日本では種子法廃止の法案可決
一方で日本ではコメ、大豆、麦に限られるが、その種子の生産と供給を義務付け、優良品種の開発を国の責務とした法律、主要農作物種子法が存在しており、農家は安価な価格で質の高い種子を手に入れることが権利として保障されていた。しかし、この法律が民間企業の利益を損なうとして、その廃止が昨年4月に決まってしまった。今年の4月以降、主要農作物種子法は廃止されてしまう。
この世界で進んでいる農家の種子の権利を奪う動き、その背景にはモンサントなどの種子企業が開発した種子を知的所有権をたてに独占し、それを世界の農家に押しつけようとするものだ。種子は企業の独占物となり、農家は企業の富を増やすだけの契約労働者の地位に落とされる。こうした独占の動きに対して、企業の独占物ではない、自分たちの種子を守ろうという動きが世界で本格的に動き出している。
この世界で進んでいる農家の種子の権利を奪う動き、その背景にはモンサントなどの種子企業が開発した種子を知的所有権をたてに独占し、それを世界の農家に押しつけようとするものだ。種子は企業の独占物となり、農家は企業の富を増やすだけの契約労働者の地位に落とされる。こうした独占の動きに対して、企業の独占物ではない、自分たちの種子を守ろうという動きが世界で本格的に動き出している。
Radio Mundo RealというNGOが制作したドキュメンタリー映画『種子ーみんなのもの?それとも企業の独占物?』(原題:SEMILLAS ?Bien comun o propiedad corporativa? はコロンビア、グアテマラ、コスタリカ、チリ、ブラジルなどの国々の農民運動に密着しながら、このモンサント法案との闘いや先住民族や農家の種子の権利を守る運動の重要性を表す作品となっている。 |