四日市港周辺と鈴鹿市林崎町地内
2006/07/05

GMナタネ自生追跡調査
わたしたち遺伝子組み換え食品を考える中部の会で四日市港から松坂市に至る国道23号沿線の自主調査を始めて、まる2年が経過しました。

その間、調査は季節を問わず、すでに10回以上を重ねています。

その結果として見えてきた状況は、自生したセイヨウナタネが世代交代を重ねているというものです。

セイヨウナタネはカナダより温暖な日本では四季を選ぶことなく、一年中生育が可能です。そのため、菜の花には季節外れの真夏や冬でも花を咲かせ、種子を付け、子孫をふやすことができます。これはまったく旺盛な生命力ということができます。当然のことながら、本国カナダよりも生育条件の良い日本ではその拡散のスピードも速いことが考えられます。

種子を仕込んだサヤをたわわに実らせるカノーラ(セイヨウナタネ)

遺伝子組み換え食品を考える中部の会では津市在住の方より情報を得、今回とくに国道23号沿線鈴鹿市林崎町の田園地帯を調査しました。

情報によれば、今まで点でしか確認できていなかったセイヨウナタネが道路に沿って線状に連なって自生しているとのことでした。

その状況を確認すべく、市街を離れた林崎町付近をおとずれました。

このあたりでとくに気付いた点は次の2点。
@以前林崎町の田んぼの畦で確認されていたGMナタネの群落が、人為的に徹底的に一掃されていた。
A以前は点でしか確認されていなかったセイヨウナタネが道路沿いに線状に連なって自生しており、その一本づつが種子を付けている。明らかに世代交代をし、拡散を続けている。

Aの現状から判断して、このまま放置しておくとGMナタネの雑草化が進んでしまいます。さらにカラシナなど他の雑草や近縁の農作物と交雑する可能性も否めません。

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鈴鹿市林崎町

林崎町の水田脇
このようなセイヨウナタネの勢力拡大の事実を確認したのは、今回の調査が初めてでした。

さらに林崎町の同じ地点で採取した9個体のセイヨウナタネでは、そのすべてがラウンドアップまたはバスタ耐性の性質が確認され、そのうちの1個体では両方の交雑種の疑いがもたれました。


現在、該当の製油会社によるナタネの抜根作業が定期的になされてはいます。そして、ナタネのこぼれ落ちを防ぐためのトラックの改造も行なわれています。

にもかかわらずこのような状況が確認されることで、現状の対策では『追いつかない』という結論になってしまうわけです。
大掛かりな作戦が必要
このことから、早急な対策として、今後大きな規模でのセイヨウナタネ一掃作戦が必要といわざるをえません。それも企業、行政、市民の枠をこえた可能な限りの活動が望まれます。

自然界での生物の勢力拡大は、ある程度の規模を超えるとその先は幾何級数的な規模となる可能性があります。

そうなってしまってからでは、もはや手の施しようもなく、三重県の国道23号線を軸とした一帯がGM汚染される危険性をはらんでしまいます。

これはこの地域の農業にとっても大きな汚点ともなりかねません。

おそらくこういった状況は林崎町以外に、この先松坂市に至る水田地帯でも同様に起こっている可能性があります。

今後、これらのGMナタネがさらに周辺に拡散すれば、そこかしこの田や畑でもセイヨウナタネが見受けられるようになるでしょう。

今でこそ周辺の農家は静観もしていられるかもしれませんが、近い将来、非常に困った状況がおとずれてしまうことにもなりかねません。

危機的状況?
もしかすると、これはすでに危機的状況といえるかもしれません。除草剤の効かないセイヨウナタネは温暖な日本の気候の中で、さらに除草剤を多用する現代の農業の中に放たれることで、今後どのような勢力を発揮するのか予測はむつかしいところです。
しかしながら最低限、除草剤が施用される環境の中、他の植物にくらべて優位性をもってしまう要因にもなるのかもしれません。

とにかく、早急かつ徹底的な対策が望まれます。




該当の製油会社は加害者か
該当の製油会社は加害者なのでしょうか。

製油会社ではかつて地元のナタネを搾油していました。戦後日本人の食性の欧米化から、また農業の劣勢による国産ナタネの減少で、北米からの輸入に依存せざるをえなくなりました。さらに安全だからという理由で、GMナタネの輸入が許可されました。

さらに具合の悪いことに、製油会社にとってさえ、非GMを選択する余地さえなくなってしまった。これはカナダのGMナタネの生産が全体の80%以上に達していることからもあきらかです。非GMの豪州産だけに依存することは現実的に不可能なのが現状です。

輸入ナタネをあつかうようになって以来、一部の製油会社は港からナタネの輸送を続けてきました。そしてGM汚染の問題が生じたのです。

では、その責任を製油会社に押し付けることが正しいことなのでしょうか。
農水省の対応について
このような状況が茨城県鹿島港以外の港周辺で進行しています。にもかかわらず、安全だからという理由で国による対策は何一つなされていません。

本来、日本の農業を守り、育てなければならない行政機関が、このようなGM汚染の現況を見過ごすという姿勢に対して大きな憤りさえ感じざるをえません。

これ以上の日本の農業の荒廃はあってはなりません。

国による早急な対策を望むものです。