関連製油会社の
ナタネ種子輸送用トラックの検分
06/03/24

四日市港から関連の製油会社へは、専用のトラックでナタネの輸送が行なわれています。トラックの輸送経路である国道23号線の沿道のセイヨウナタネの撤去作業は、その世代交代と拡散を防ぐ手段としては効果があります。しかしながら、輸送途中でのこぼれ落ちがなくならない限り、撤去作業は永続的に行なわれなくてはなりません。

そこで製油会社に対し、ナタネ輸送用トラックの検分と、会社側でのGMナタネ自生への対応などについて、意見交換の場を設定していただきました。

  日 時:
06年3月24日
14:00〜15:40
  場 所:関連荷役会社(四日市港第二埠頭)
  出席者:
製油会社より:
太田業務部長、竹上企画管理部長、島企画管理部担当部長
トランスシティーより:
1名
中部の会より:
樋口和男(ぷぅる・あんふぁん)、藪、粟屋かよ子(四日市大)、河田(四日市大)、加藤(中部よつ葉会)、山本(あいち生協)、石川(道長)

製油会社側の弁
会社として社会問題を提起している責任から、できる限りこぼれ落ちをなくすよう努力する。また遺伝子組み換えイネ研究会HPで、中部の会が2/9に行なった自主調査の結果を受けて、輸送用トラックの改善点の再検討を行なった。

中部の会での調査結果を見るまでは、こぼれ落ちによる自生がこんなに多いとは思ってもみなかった。会社側としても、GM問題に意識を持っており、可能な限りその拡散を防ぎたい。今年2月以降、以下の対策を行なった
1.
会社の周辺の観察の結果から、車の振動が原因と考えた。上部開口からのこぼれ落ちはなく、トラックの(ナタネ取り出し用ハッチの)パッキンの老化を疑い、全車チェックを行なった結果、10台中1台のパッキンが確認され、早急に交換・修理し、改善した(今年2月)。
2.
トラック運転者の教育(今年2回)
運転者に、道路交通法、ナタネのこぼれ落ちチェックのポイントの教育を行なった。
幌をきちんとかける。パッキンの状況確認。
荷台に残ったナタネがあればほうきではく
(トランスシティでは掃除機で吸い取り、産廃にする)
運行ごとの報告書を提出する
エコドライブ/スマートドライブの励行(振動を避けるため、無理な追い越し、急加速、急発進などを厳禁)。
アイドリングストップ
過去に積載容量いっぱいに載積したこともあったが、現在は積載容量8分目ぐらい積載し輸送している。

ナタネ輸送トラックの運行状況
1日延べ40台のトラックが運行している。
18tトレーラー 10台
10tトラック   7台
小型        2台(増産時に出す)
3.
会社での対策
ナタネの抜根作業は昨年4/1に工場周辺を初め、四日市港から当社までを6回に分け抜根した。
社員にも見つけたら抜くように指示してある。
検査キットも用意して検査を必要に応じ研究開発で実施している。
毎月、1日と14日を環境美化活動の日に指定し、工場周辺道路のなたねの抜根及びごみの清掃を実施している。
ナタネの抜根記録をとっている。
 平成17年4月以降工場周辺の抜根作業6回
 平成18年になって3回行なっている
4.
その他
ナタネ輸送トラックでナタネ粕を飼料会社に運んでいる。
製油会社への要求事項
・輸送トラックの上部の大きな開口部がこぼれ落ちの原因にもなっていると思われるので、荷台の前1/3を鉄板で塞げば幌がなくても済むし、こぼれ落ちが防げるのではないか。

荷役会社側の弁
月に一回用地周辺を掃除し、菜種を抜いている。サイロを掃除する際に出るサイロダストについては(産廃業者が)焼却処分している。



輸送途中でのナタネのこぼれ落ちには、積込みの不備、過積載、急ブレーキなどなど、いろいろな要因が考えられます。その確立を限りなくゼロに近づけるためには、トラックの構造の見直しだけではだめで、乗務員の意識を喚起する必要もある(しかも継続的に)。あらゆる防止策がそれらのもとで行なわれてはじめて達成されるわけです。不可能に近いものかもしれませんが、それ以外に方法はないものと思われます。

たとえば、トラック一台が100粒のナタネを落としたとします。一日に40便の輸送ではなんと4000粒、一年に250日の運行業務があるとすれば、なんと100万粒のこぼれ落ちとなってしまいます。

巨大な製油メーカーが港の埠頭内に製油工場を建設できるのに対し、中小の製油メーカーでは経済的な理由などで港から遠く離れたところへの移送のために、こぼれ落ちのリスクと、輸送コストを強いられてしまうわけです。GMナタネの輸送をやめることができない限り、こぼれ落ちリスクを限りなく低いものにしてゆくための努力をする義務を課せられてしまうわけです。

GMナタネの拡散を完全に防ぐ方法は実はひとつだけあります。それはGMナタネの使用をやめることです。これには原料や分別流通のためのコスト、原料の安定供給などの問題などがあり、困難な点もあるかと思いますがぜひ実現していただきたいと思います。またGMナタネの使用を減らし、非GMを導入しての商品開発を進めることも、GMナタネの自生・拡散を減らす手立てになるのではないでしょうか。

環境について考える場合、『完璧』ができないからといってあきらめるのでなく、少しづつでもその負荷を減らす努力をしてこそ、完璧に近づけるはずです。

なお中部の会では以上の会見を踏まえ、あらためて製油会社、荷役会社に対して要望書を提出させていただく予定です。

関連の製油会社ならびに荷役会社の今回の協力に対し、厚くお礼を申し上げます。

ナタネの積込みを終え、投入口に幌をセットする乗務員