JA全農名古屋支所への会見
03/06/23


 遺伝子組み換え食品を考える中部の会では、03/6/23、名古屋市中区丸の内のJA全農(全国農業協同組合連合会)名古屋支所への会見をしました。

会見の目的
国内の一般の農家でのGM作物(とくに大豆)の栽培を止めるため、JA全農の協力を得るため

 一昨年より、『バイオ作物懇話会』なる団体による、全国各地でのラウンドアップ耐性GM大豆のデモ栽培が行われています。

 大豆の種子の管理・販売、収穫大豆の流通販売はおもに全農が行っており、各地で指定された『奨励品種』を対象として、農家の作付けに対して『交付金』が支払われています。問題のGM大豆は当然、奨励品種ではなく、これを栽培しても農家には交付金がおりることはありません。愛知県では、農家の農協への大豆の価格が1俵約12000円ですが、奨励品種外では6000円ほどにしかなりません。

 バイオ作物懇話会のデモ栽培は今年、茨城県ですでに行われていて、収穫までを予定しています。こういった活動を見過ごすということがGM作物の国内での栽培を容認するどころか、受け入れてしまうという暗黙の了解にもつながりかねません。

 このGM大豆のデモ栽培を封じるためには、とくに全農の協力を得て、各農協に対して『通達』をだしてもらうのが最も効果的と考えます。

 大豆を管理・販売する全農の全国組織は5ヶ所あり、北海道・東京・名古屋・大阪・福岡に各支所を置いています。これらの支所に協力が得られれば、GM大豆のデモ栽培はかなり確実に封じることができると考えます。

 今年2月、日本消費者連盟と遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンとが中部の会に先行して、北海道でホクレンと会見しています。ホクレンはクリーンな農業のイメージの元、単独でのコメントが可能な立場ということもあり、GMは扱わないという明確な回答も出しています。

 この『通達』の指示は全農本部からなされることになるかもしれませんが、全農の立場からすれば、GMフリーをPRする好機ともなりうるため、現実的に可能であろうと考えます。

 各地区農協からすれば、全農からの『通達』はかなりの有効性を期待できます。

 全国でJA全農各支所にたいするはたらきかけをしていただけることをお願いします。どの全農でもGMフリーという態度は明確であるはずです。



当日の会見の出席者

JA全農名古屋支所
農産部部長真島誠輝


遺伝子組み換え食品を考える中部の会
遺伝子組み換え情報室河田昌東
中部よつ葉会村上喜久子
あいち生協守本弘子

井上弓子
土こやしの会宇佐美祐代
音羽米研究会鈴木晋示
道  長石川豊久

一昨年から、国内各地でラウンドアップ耐性GM大豆のデモ栽培が行われています。このような国内でのGM作物の作付けは、次のような問題を引き起こす可能性があります。
国内産の農産物はGMフリーであるという全農の消費者に対する信頼を失う可能性がある。
栽培過程での交雑、収穫・調整段階での混雑、流通、販売での不正ブレンドなどの問題が考えられ、市場での混乱が懸念される。
日本の農業の更なる低迷化につながる可能性がある。
自然界での遺伝子汚染の可能性。 など



会見の内容:
遺伝子組み換え食品を考える中部の会より
一昨年から、GM大豆のデモ栽培が各地で行われていて、昨年はかなり大掛かりに敢行されている。今年は反対運動の影響で、GM大豆の作付けはかなり逆風を受けている。茨城県ではすでに作付けされたと聞いている。今後、こういったデモ栽培をすることで、その地域の評判が落ち、消費者からの信頼を失いかねない。なんとか、『通達』というかたちで、そういう動きに歯止めをしていってもらいたい。
農家での認識も低く、GMとはなにかすら把握されていないありさまなので、ぜひとも『通達』をお願いしたい。
消費者のGMを食べたくないという意志ははっきりしている。しかしながら、愛知県のGM祭り晴の研究中止の署名活動の際、県下の学校給食に使われている『祭り晴』はGMフリーかとの問い合わせが殺到する等、不安感から情報が混乱する事もあり、一般のレベルではGMに対する認識は低い。
現在、国が定めているGMの混入許容値は5%以下だが、全農の立場からもその値を引き下げてゆくような働きかけもしてもらえるといい。
(口頭の質問で)実際に名古屋管内で、GM大豆のデモ栽培に関して申し出があったか。
もはや、食の安全性の問題だけでなく、日本の農業の問題という段階にまで進んできている。日本の食糧自給率にしても、これ以上下げるわけにはいかないし、地産地消の意味からも、消費者と農家とのパイプ役としての全農の立場を十分に認識していただきたい。
欧州でのGM規制が厳しいため、日本への『押し付け』も今後ますます強くなる。全農としての国産大豆のPRを、マスコミなどにももっと積極的にアピールしていってもらいたい。
7/2に名古屋でシュマイザーさんの講演を予定している。北米では知的所有権により、告訴問題が引き起こされている。日本国内とは種子の管理(日本では米、麦、大豆は経済連と全農が管理している)の仕方がちがうため、どういった形で問題となるかはわからないが、ぜひ講演を聴いてほしい。


JA全農名古屋支所より
全農の支所は全国に5ヶ所(東京・名古屋・大阪・福岡・北海道)あり、名古屋支所では、愛知・岐阜・三重・静岡・石川・富山の6県をカバーしている。
米の転作作物としての大豆の栽培と収穫は順調に伸びており、すでに平成22年の目標値を達成している。昨年の全国での収穫量が19万t。愛知県では、一昨年が4800t、昨年6000t(数字はすべて交付金の対象になっているものに限る。自家消費分はこれに含まれない)。愛知県での奨励品種は『フクユタカ』で、豆腐の原料に適していて、関東・関西への出荷もしている。現在のところ、生産のだぶつきはない。
国産大豆のほとんどは食用として消費されていて、飼料用などには等外品がまわる程度。反あたりの収量はまだ低めなので、今後技術が向上すれば生産効率も上がり、コストも下がるだろう。輸入大豆との価格の格差も少なくなってくる。
交付金とのからみから、その予算の問題で、国としてはあまり積極的ではない。全農としては今まで国産の大豆のPRは積極的に行ってきたわけではない。今後需要は増えるだろうし、国産大豆は不足気味となってゆくだろう。消費者のニーズに答えてゆくつもり。
今のところ名古屋管内では、GM大豆のデモ栽培についての動きは把握していない。
『通達』に関しては考慮したい。
現在、名古屋支所管内ではGM大豆の育種は行われていない。



以下、要望書の内容


要 望 書

平成15年6月23日

全国農業協同組合連合会愛知支部殿
遺伝子組み換え食品を考える中部の会

 わたくしども、『遺伝子組み換え食品を考える中部の会』は、安全な食について、生産者と流通業者がお互いの信頼関係のなかで考えてゆこうとしている、個人・団体の集まりです。

 今年、1996年より愛知県農試で行われてきた、除草剤耐性遺伝子組み換え(GM)イネの研究開発が中止されました。これは生産者と消費者からの58万筆におよぶ反対署名に託された、熱い要望に対する愛知県の回答でありました。
わたくしどもでは昨年8月、JAあいち経済連様にも会見をお願いし、『消費者の望まないものはあつかわない』という口頭での見解を得ることができました。それはわたくしどもの活動において、大きな励みとなったばかりか、『研究中止』の判断材料にも大きく貢献したものと確信しています。

 現在国内では、収穫を目的としたGM作物の栽培は一般には行われていません。しかしながら、一昨年より、一部の団体によるラウンドアップ耐性GM大豆のデモ栽培が、日本各地で敢行されております。今年もすでに茨城県で作付けが行われております。しかしながら各地への栽培の依頼にたいし、消費者からの不信感を配慮して自粛をした地域も増えてきております。

 今後、愛知県の各地域にも、こういったGM作物の栽培を依頼する動きも出てくるかと思われます。

 そこで貴会に対し、以下のような要望を申し上げます。

大豆の栽培に関して、遺伝子組み換え大豆を作付けしても、補助金の対象にはならない旨を各農協に通達していただくこと。
遺伝子組み換え大豆の作付けが行われ、交雑の危険が見受けられた場合、その地域の大豆は全農では取り扱わない旨を各農協に通達していただくこと。

以上、二点につき、貴会に要望申し上げます。